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2012/09/14(Fri)

最後の人

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『最後の人』(Der letzte Mann) 1924
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ(Friedrich Wilhelm Murnau)監督
カール・マイヤー(Carl Mayer) 脚本
エーリヒ・ポマー (Erich Pommer) 製作
エーミール・ヤニングス(Emil Jannings) 主演

<チョ~簡単なあらすじ>
 高級ホテルのドアマンだった男は、金モールの立派な制服が自慢。その堂々とした制服姿から、近所の人からも尊敬を集めていた。ところが客の重い荷物を扱うのに四苦八苦しているところを支配人に見られてしまう。年齢的限界と判断した支配人は、男をトイレ係に降格させる。自慢の金モールから薄っぺらい白衣姿へと変わり、トイレを掃除しながら客にタオルを渡すことが彼の仕事となった。その屈辱にすっかり打ちひしがれる男。そして降格となったことを家族にも言えず、家に帰るときはこっそり金モールの制服に着替えるのだった。ところがトイレで這いつくばっているところを人に見られ、家族にバレてしまう。家族や近所の人々の冷たい目…。男は絶望した。ところが捨てる神あれば、拾う神あり…(以下、ネタバレになるので省略^^;)

******************************

 ムルナウの傑作と呼ばれる作品の1つで圧巻なのは主演ヤニングスの演技です。インタータイトルによるセリフは全くなく、すべて無言のまま主人公の心の動きを見事に表しています。立派な制服を身にまとって得意げな様子、降格を告げられて打ちひしがれる様子、高慢な客に顎で使われて屈辱に震える姿。この作品でヤニングスは一気にブレイク。その後ハリウッドから招かれることになり、ドイツ人で唯一、アカデミー賞の主演男優賞も受賞しています。しかし英語が苦手だったヤニングスはトーキー出現とともに英語での限界を感じ、ドイツに戻ったとのこと。前からヤニングスは気になっていたのですが、この作品を見てさらに好きになりました!!名作と呼ばれるだけのことはあると、改めて感心。「嘆きの天使」(1930年)におけるラート教授の原点がここにあった!と思えます。また、制服つまり外見によって人の評価がガラッと変わることに対する皮肉も、この作品には込められているのかな、と思いました。結末の展開については意見の分かれるところだと思います。痛快と取るか、カタルシスと取るか、皮肉と取るか。

 なお、この作品は画期的なカメラワークでも知られているんだそうな。ドイツ語の解説を読むと、「entfesselte Kamera(解き放たれたカメラ)」という言葉が出てきます。ちょっと古い本で恐縮なのですが、キネマ旬報社の「世界の映画作家34」の説明をこちらに引用させていただきますね:
『観客をうならせたのは、カメラの自由な動きであった。閉ざされた空間、出口のない現実の中をカメラは自由に動き回り、次々と新しい空間を提示し、めまぐるしい画面の変化のうちに、現実空間は心理空間に、ものは象徴に変わってゆく。』『字幕のかわりに、カメラがセリフを語っている』『マイヤーはシナリオのなかに細かくカメラの動きを書き込みムルナウはマイヤーのイメージを完璧に形象化した』

 脚本家カール・マイヤーについてちょこっと調べたりしているうちに、俄然興味がわいてきてしまいました。この「最後の人」の脚本もそうですが、かの「カリガリ博士の小屋」の脚本家としても知られます。ムルナウ監督がアメリカへ招かれた際、友人であるカール・マイヤーも一緒に来るよう勧めたそうですが、マイヤーは住み慣れたドイツにとどまります。ところがユダヤ人であるが故に、ヒトラー政権成立後には国外へ亡命を余儀なくされました。しかしドイツのような成功を収めることもなく、ロンドンで若くして亡くなったとのこと。




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