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2011/07/23(Sat)

カリガリ博士の小屋 ~ ドイツ表現主義

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『カリガリ博士の小屋』  (1919年)
Das Kabinett des Dr. Caligari
Robert Wiene (ローベルト・ヴィーネ)監督
Carl Mayer(カール・マイヤー)、Hans Janowitz(ハンス・ヤノヴィッツ)脚本
Decla-Film-Ges. Holz&Co.(デクラ映画会社)制作
Werner Krauss (ヴェルナー・クラウス)カリガリ博士
Conrad Feidt (コンラート・ファイト)夢遊病者ツェザーレ

 予言を行う夢遊病者ツェザーレを引き連れ、各地の歳の市を回って見世物小屋を開く謎の催眠術師カリガリ博士。フランシスとアランは見世物小屋を訪れます。そこでアランはツェザーレに自分の寿命を予言してもらいます。そのアランは、予言どおり翌日何者かに殺されてしまいます。博士の周囲で起きる連続殺人事件の真相は… (最後にどんでん返しがあります)

****************************
カリガリ2

 私がこの映画を初めて見たときは、ホントに衝撃を受けました。私が知っているサイレント映画といえば、アメリカの喜劇映画。ドイツのサイレントは初めてでした。俳優は独特のメイクを施し、インタータイトル(挿入される字幕)は変わった手書きの字体、映る建物はみんなデフォルメされ、ひどく歪んでいたり、曲がっていたり…。さらにストーリーも奇々怪々。狂気の世界が繰り広げられ、おどろおどろしい雰囲気。なんじゃ~こりゃ?!

 それが「カリガリ博士の小屋」の最初の印象でした。私が衝撃を受ける80年前に世界の人がこの映画に衝撃を受けたといいます。

 第一次大戦後の1920年代、ドイツでは「Expressionismus、表現主義」と呼ばれる芸術運動が盛んになっておりました。その潮流に乗り、映画界でも新しい流れが生まれたそうです。ドイツ映画のライバルはハリウッドやフランス映画界。しかし人材の面でも予算の面でも太刀打ちできなかったとのこと。低予算で対抗するには独自色を、ということでウーファ映画会社など大手が抽象的な演出を取り入れ、独自の世界を作り始めたそうです。

 表現主義の映像は独特の雰囲気をかもし出しています。建物は幾何学的であったり ゆがんでいたり 不自然な角度であったりと、観る者を不安な気分にさせます。扱うテーマは狂気や死、怪奇現象など、おどろおどろしいものが多いそうな。よーく見ると(いや、よく見なくても)セットはチャチいのですが、とにかく薄気味悪い。ドッペルゲンガー(分身)あり、妖怪あり、怪奇現象あり。光と影を駆使した映像は美しくもあり、怪しげでもあり。

 この「カリガリ博士」に対し、最初に熱烈な拍手を送ったのはアメリカ人だったそうです。彼らは今まで、こんな雰囲気の映画を目にしたことがなかったから。ドイツ人が驚いたのは、むしろそういった反応だったそうで、慌てて第二、第三の表現主義的映画を作り始めたとか。

『戦後の世界をおおったのは破滅のムードであった。戦争、殺戮、革命、インフレ、失業、飢餓。19世紀がつくりあげた価値観は転倒し、文化の合理性、理性の尊厳はもはや通用しない。時代は狂っているし、社会は歪んでいる。人間は本能を剥き出しにして、内的な衝動のままに、破滅に向かって生きるのだ。戦争に勝った国でも、負けた国でも、革命が成功した国でも、挫折した国でも――人々はこぞって<カリガリスム>にとらわれた。「あなたはカリガリにならなければならない(Du musst Caligari werden.)映画のなかに出てくるこの不思議なタイトルが、世界中に一つの共感を呼び起こしたのである』(キネマ旬報「世界の映像作家34 ドイツ・北欧・ポーランド映画史」より引用)

 「カリガリ博士」は古い作品で著作権も切れているせいか、DVDもいろいろなバージョンが販売されているようです。YouTube でも視聴可能。英語版が多いのですが、オススメは絶対にドイツ語のオリジナルバージョン!当時のままの、手書きのインタータイトル(挿入される字幕)が不気味でよいのです。

参考サイト
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