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2011/09/21(Wed)

善き人のためのソナタ

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『善き人のためのソナタ』(原題:Das Leben der Anderen)2006年
Florian Henckel von Donnersmarck (フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)監督、脚本
Ulrich Mühe (ウルリッヒ・ミューエ)ヴィースラー大尉
Sebastian Koch (ゼバスティアン・コッホ)ゲオルク・ドライマン
Martina Gedeck (マルティナ・ゲデック)クリスタ=マリア・ジーラント
Ulrich Tukur (ウルリッヒ・トゥクル)グルービッツ
Herbert Knaup (ヘルベルト・クナウプ)ヘッセンシュタイン

<簡単なあらすじ>
 1984年、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。ヴィースラー大尉は国家保安省(シュタージ)の有能な諜報員で、反体制派の人物に対して厳しい取り調べを行っています。そんなヴィースラーに、劇作家ドライマンと恋人で女優のクリスタ=マリアを監視せよとの命令が下されます。反体制の証拠を見つけるべく、ヴィースラーは作戦を開始。彼らの家に盗聴器を仕掛け、24時間体制で一部始終を記録するのでした。

 そんな中、劇作家ドライマンは、反体制の烙印を押されて活動禁止処分となった演出家イェルスカを何とか元気づけようと努めます。そのイェルスカがドライマンの誕生日に贈った楽譜には「善き人のためのソナタ」とのタイトルが書かれていました。盗聴器を通してその調べを聴いたヴィースラーは強く心を動かされます。そして彼らの思想、彼らの活動に少しずつ共感していくのでした。

 しかし生きる希望を失ったイェルスカは自らの命を断ちます。彼を死に追いやった当局に怒りを覚えたドライマンは、驚くべき手に出ます。西ドイツの雑誌記者に接触し、東ドイツで自殺者が多数出ていることを告発する記事を書き、それを西側で発表したのです。盗聴と監視により、すべてを知るヴィースラーでしたが、なんと2人をかばいます。どうしても証拠を上げたい当局は、あらゆる手を使ってゆさぶりをかけてきます。

 そして壁の崩壊。シュタージの資料を調べ、自分が監視されていたことを知って愕然とするドライマン。さらに、自分をかばってくれた諜報員の存在に気づきます。彼は彼なりの方法で、感謝の気持ちを伝えるのでした…

*******************************

 あまりにも有名な作品なので、今さら私がご紹介するのもなんだか申し訳ない気がします。本作で主人公ヴィースラー大尉を演じたのは、故ウルリッヒ・ミューエ。この作品に出演した数年後にガンで他界しています。旧東ドイツ出身のミューエ氏は、自らもシュタージに監視された過去を持ちます。妻がIM(非公式協力者)として夫であるミューエ氏を当局に密告していたと言われているのです。そんなミューエ氏による真摯な演技はとても迫真的で胸に迫ります。また、フォン・ドナースマルク監督が4年の歳月をかけて調べ上げたという、シュタージの手口が非常にリアル。見ていると背筋が寒くなります。(ただし、徹底的な訓練を受けたエリート諜報員が“変節”することは当時ありえなかった、この映画はシュタージの罪をむしろ矮小化しているとの批判もあるそうです。実際は本作よりもっと厳しかったということでしょうか。批判はあるにせよ、それまで外にはあまり知られなかった秘密警察「シュタージ」がクローズアップされ、その実態が明らかにされたという点で評価されているとのことです。)

 フォン・ドナースマルク監督は、名門ミュンヘンテレビ映画大学の卒業生。この作品は監督の卒業制作でした。低予算でしたが、その脚本の内容や完成度に驚いた俳優やスタッフが、通常のギャラの半分以下で撮影を快諾したため、制作が実現したと言われます。本作はドイツ国内の映画賞を総なめ。そして翌年、アカデミー賞外国語映画賞を受賞しました。

<おまけ>
ミュンヘンテレビ映画大学とは:1967年、ミュンヘンに設立された名門大学。多くの映画人を輩出していることで知られます。卒業生の中には、ヴィム・ヴェンダース監督、ローランド・エメリッヒ監督、ウリ・エデル監督、ドリス・デリエ監督、カロリーネ・リンク監督、名プロデューサーのベルント・アイヒンガーなどなど、そうそうたる顔ぶれが見られます。第二次大戦後、ドイツ映画界は衰退の一途をたどります。優秀なユダヤ系の人材はナチの弾圧から逃れてアメリカへ。ナチお抱えの映画人は戦後は映画界から追放されています。「黄金の20年代」とも呼ばれた、かつての華やかさ・重厚さは失われ、制作されるのはテレビ放映用の映画ばかり。そんなドイツ映画界に危機感を抱いた若き映画人たちがオーバーハウゼンにて「ドイツ映画は死んだ」との声明を発表したのが1962年。その後、ベルリンやミュンヘンにこうした養成機関が設立され、少しずつドイツ映画はかつての勢いを取り戻しつつあったと言われます。

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  • 待っておりました!

    私にドイツ、ドイツ語、ドイツ映画に興味を持たせてくれた大切な映画です。シナリオ本を入手し、自分なりにコツコツと翻訳していて、何とかエンディング近くまでたどり着きました。時々映像も見直しているのですが、何度見てもミューエさんの演技には魅了されます。

  • ありがとうございます

    ★ウリジュンさん、コメントありがとうございます。大したことが書けなくて申し訳ないです^^; この映画に関しては、ウリジュンさんのほうが100倍も200倍もお詳しいのに…。フォン・ドナースマルク監督には、またこの作品のように、それまで知られていなかった史実や、公にすることをタブー視されていた内容を映画にしてほしいなーなんて思います。それにしても、改めて観て見るとミューエさんの演技、本当に素晴らしいですね。この役はミューエさんにしか演じられないように思います。

  • いえいえそんな・・・

    詳しいだなんて、お恥ずかしい限りです。^^ゞ
    そうですね、フォン・ドナースマルク監督には、そのような映画を是非また作って頂きたいですね。二作目の「ツーリスト」を期待大で観たのですが、ハリウッドや世界を意識した作品(監督の意思はどうだったのかは知りませんが)になっているなぁ~と、少々ガッカリしたというのが正直な感想です。映像は綺麗でしたし、ハラハラドキドキさせられ面白かったのですが、観終わった後で何も残らなかったのですよね。勿論、こういう映画があってもいいのですが、次作は、心に迫る物を期待したいですネ。

  • やはり…

    ★ウリジュンさん、コメントありがとうございます。遅くなってすみませんっv-356 「ツーリスト」、ご覧になったんですね!豪華キャストですし、それなりに面白い作品ではあるんだろうな~とは思っていたのですが、なんとなく「結局、売れるとハリウッドに行っちゃうワケ?」と、ひがみにも似た複雑な気持ちでおりました。あの監督には、ドイツ人にしか作れない映画を撮ってもらいたいな~と思います。次を期待したいですよねー。

  • Hiragana ga utenai PC kaputt?

    コメント投稿
    Gestern Abend habe ich diesen Film gesehen.
    Der Film war sehr spannend.
    Letzte Zeit habe ich Tranen geweint.

  • お久しぶりです

    ☆絵描き屋Yoshimiさま こんばんは!大変ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいましたか?ココログでブログを始めた頃からですから、かれこれもう5年以上も前になりますね。来てくださり、ありがとうございます。この映画は本当にいいですよね。細かいところまで気を配りながら丹念に作られた、という気がいたします。何度見ても感動しますよね。

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