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2011/08/19(Fri)

バーダー・マインホフ 理想の果てに

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『バーダー・マインホフ 理想の果てに』(原題:Der Baader Meinhof Komplex)、2008年
Uli Edel(ウリ・エーデル)監督
Bernd Eichinger(ベルント・アイヒンガー)脚本
Moritz Bleibtreu(モーリッツ・ブライプトロイ)アンドレアス・バーダー役
Martina Gedeck(マルティナ・ゲデック)ウルリケ・マインホフ役
Johanna Wokalek(ヨハンナ・ヴォカレク)グードゥルン・エンスリン役
Bruno Ganz(ブルーノ・ガンツ)ホルスト・ヘロルト連邦刑事庁長官役

(公開当時、拙ブログに書いた感想を少し直して転載いたしました)

<簡単なあらすじ>
 時は1967年。イランのパーレビ国王のベルリン訪問に反対する若者たちがベルリンでデモを起こします。そこで悲劇が起きました。学生が警官に撃たれたのです(この警官が実は東ドイツ秘密警察の密偵だったことが最近になって判明します)。これをきっかけにデモは過激になります。折りしもベトナム戦争が泥沼化し、反米感情も高まっていたころ。のちにドイツ赤軍派(RAF)の初期メンバーとなるアンドレアス・バーダーがベトナム戦争に抗議し、仲間とともに百貨店に放火。そしてその後、逮捕されます。一方、ジャーナリストだったウルリケ・マインホフも左傾化し、激しい論調の手記を雑誌に投稿するようになります。

 やがてバーダーは仲間の手引きにより脱獄。そしてウルリケ・マインホフと出会うことにより、ドイツ赤軍派が誕生します。彼らは銀行強盗や爆弾テロを繰り返し、世間を震撼させます。そんなとき、ホルスト・ヘロルトがBKA(連邦刑事庁)長官に就任。コンピューターを駆使する最新技術を投入し、断固テロリストたちと戦う姿勢を見せるのでした。やがて初期のメンバーが次々と逮捕され、投獄されていきますが、RAFでは第二世代と呼ばれるメンバーが育っていました。

 投獄されたメンバーたちはハンガーストライキを決行。1名が死亡します。精神的に追い詰められたウルリケ・マインホフは独房の中で首を吊って自殺。その自殺をRAFメンバーは国家権力によって処刑されたと世論に訴え、獄中の仲間を釈放させるべく、さらにテロ行為を激化させるのでした。

 追い詰められたメンバーはパレスチナゲリラと組み、ルフトハンザ機181便「ランツフート号」のハイジャックを企てます。目的は仲間の釈放でした。しかし時のシュミット首相は毅然とした態度で臨み、テロリストとの交渉や妥協を一切拒みます。そしてミュンヘンオリンピックのテロ事件での苦い経験を元に結成された警察の特殊部隊GSG-9投入を決定。そして突入の末、人質の救出に成功します。その知らせに落胆するメンバーたち。そしてその結末は…

*******************************

 本作は1967年のパーレビ国王ベルリン訪問に反対するデモから始まり、1977年のルフトハンザハイジャック事件や実業家シュライヤー氏誘拐・殺害事件までの10年間を描いております。この10年間を2時間半に凝縮するのは、確かに大変だったと思います。ドイツの60年代、70年代の歴史がコンパクトにまとめられております。テロリストのドンパチが多いため、派手なアクション映画と思われがちなのですが、さにあらず。監督の話では、実際に撃たれた弾の数を調べ、忠実に再現したとのこと。観客をひきつけるための大げさな演出ではなく、あくまでも史実に基づいたものと知り、むしろ歴史の再現ドラマに近いという印象を受けました。

 モーリッツ・ブライプトロイはすんごい存在感。彼が出てきただけで、画面の空気が変わったような気がします。オーラ出まくり。彼を見ていると「演技をしている」という感じがまったくしません。役作りがうまいのか、それとも天性のカンで役になりきってしまうのか。とにかく難しい役を次々と完璧にこなす役者だな~と改めて感心。マルティナ・ゲデックも相変わらずの存在感。ノーメークに近いメークとボサボサ髪。独房で次第に精神のバランスを崩していく様を見事に表していました。見ていて感心したのがヨハンナ・ヴォカレク。この女優さんは「アイガー北壁」で幼なじみの記者を演じた人ですが、そのときは素朴で垢抜けない印象でした。その印象が一変。ハマり役だったように思います。

 そのほかにも、アレクサンドラ・マリア・ララ(めちゃくちゃキレイ!以前より華やかさが増したような…)、ハイノ・フェルヒ(映画「トンネル」でトンネル掘った人)、ハンナー・ヘルツシュプルング(初主演映画「4分間のピアニスト」でブレイクした女優さん)など、華やかな顔ぶれが見られました。

 この作品はテロリストたちを美化して描くこともなければ「巨悪」として描くスタンスでもなく、淡々と史実を追っているように思います。あの時代をどう判断するかは見る側に委ねられているのでしょう。

 ドイツの戦後史のキーワードRAF。現代の日本ではそれほど取り上げられることもありませんが、本作を観るとRAFのことが少し分かるような気がします。彼らの主張には正直な話、共感できませんし、彼らが自分たちのイデオロギーを正当化して起こしたテロ行為にも嫌悪感を覚えます。それでも驚いたのは、彼らが放つすさまじいエネルギー。デモで学生に発砲した警官が実はシュタージの手先だったことが最近明らかになりましたが、仮にその事実が当時明らかになったとしても、別のきっかけでRAF は生まれていたんではないか、と思えました。そのくらい、彼らのエネルギーは激しかったのではないかと。地下にたまったマグマが吹き出るような印象を受けました。なぜ彼らはあのような行為に走ったのか。何が彼らをそうさせたのか。世間は彼らをどう見ていたのか。難しいテーマですが、RAFを知るきっかけになると思います。ドイツにご興味がある方は必見♪ 「ハイジャック181」と合わせてご覧になると面白いかも。

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(本国の予告編です)



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  • No Title

    お久しぶりでーす。こっちも毎回楽しみに覗いてます♪この映画は先日DVDで観ました。長くて退屈かと心配していたんですが惹き込まれました。(ありちゅんさんが以前おっしゃってたようにヨハンナ・ヴォカレクが妙に美人化しててビックリ。どおしてでしょ?)拙ブログでも紹介しましたがシュリンクの新作「週末」もRAFを扱ってて面白かったですよー。

  • わ~ ありがとうございます

    ☆mauさん こんばんは~ こちらにも来てくださって、ありがとうございます。以前、古いほうのブログに書いた内容とほとんど変わらない手抜きですのに、コメントを書いてくださってありがとうございます♪ ホント、ヨハンナ・ヴォカレクがキレイになっててビックリですよねー。あんなに田舎くさかったのに…。濃いメークが似合う人なのかも。今日、久しぶりに予告編を見ましたが、すごいエネルギーですよね…(汗) 日本でも学生運動などありましたが、当時の若者ってエネルギーにあふれてたんですね。今じゃ考えられないほど。

  • No Title

    今までに見たドイツ映画の中で好きなもの10本の指に入ります。ブライブトロイにとって一番のはまり役だとも思います。(彼にはどの役もはまり役なんですが・・・)そしてこの映画のヨハンナ・ヴォカレクが一番好きです。ほんと、濃いメークが似合う人なのかもしれませんね。

  • ですよねですよね~

    ★ラケルさん、コメントありがとうございます。そうですよね、モーリッツ・ブライプトロイのアンドレアス・バーダーはハマり役だと思いました!演技力のある彼ですので、どんな役でも器用にこなしてはいますが、やはり善人より一癖も二癖もあるような役が似合いますよねー。スクリーンで見たので、とっても迫力がありました。

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