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2011/08/07(Sun)

4分間のピアニスト

     c0106091_10111713.jpg

『4分間のピアニスト』(原題:Vier Minuten、2006年)
Chris Kraus (クリス・クラウス)監督
Monica Bleibtreu(モニカ・ブライプトロイ)トラウデ・クリューガー
Hannah Herzsprung(ハンナー・ヘルツシュプルング)ジェニー・フォン・レーベン
Jasmin Tabatabai(ヤスミン・タバタバイ)アイゼ
Vadim Glowna(ヴァディム・グロヴナ)ジェニーの父
公式サイト(日本語)

 トラウデ・クリューガーは老いたピアノ教師。刑務所で受刑囚にピアノを教えています。ジェニー・フォン・レーベンも教え子の一人。類まれなる才能の持ち主ではあるものの、殺人罪で服役中の身でした。忌まわしい過去がトラウマとなり、極度の人間不信に陥ったジェニーは、固く心を閉ざしています。クリューガーはそんな彼女の才能を見抜き、周囲の反対を押し切って彼女をコンクールに出場させようとします。クリューガーもまた、戦時中に最愛の人を失い、ピアノの才能に恵まれながらもそれを生かすすべもなく、心に傷を負って孤独に生きている一人だったのです。

 ジェニーに正統派の演奏法を教え込もうとするクリューガー。愛を知らずに育ったジェニーはクリューガーの教えを素直に受けることができません。たびたび癇癪を起こしては人を傷つけ、問題を起こします。それでも根気強くピアノを指導するクリューガーに、ジェニーは少しずつ心を開いていくのでした。

 しかし、ジェニーに手を焼く刑務官たちはコンクールの決勝を目前にした彼女にピアノを禁止してしまいます。ジェニーの才能を信じるクリューガーは、オペラ座で4分間の演奏をさせるべく、驚くべき行動に出るのでした…

************************************

 ジェニーを演じたハンナー・ヘルツシュプルングは、これがスクリーンデビューなんだそうです。それまでもテレビなどには端役で出ていたそうですが、あまり目立った存在ではなかったとのこと。でも、その話が信じられないほど卓越した演技力を見せています。童顔なだけに、突然「ブチ切れる」エキセントリックさがよく出ていたと思いました。本国HPによると、役作りのために数か月にわたってピアノのレッスンを受け、ボクシングのトレーニングも3ヶ月間続けたそうです。確かに演奏中、背中の筋肉が際立っていました。あれはトレーニングの賜物なんですね。インタビューで打ち明けていましたが、オーディションに合格したいあまり、「ピアノが弾けます」と言ってしまったと。監督も、てっきりピアノが弾けるものと思い込んでいたそうで、「実は弾けない」ことが分かったとたん、ガーン!となったらしいです…。

 老いたピアノ教師を演じたのは、故モニカ・ブライプトロイ。あのモーリッツ・ブライプトロイのママなのでありました。撮影当時は60過ぎだったはずですが、80歳くらいの老女を見事に演じていました。顔に深く刻まれたしわと丸まった背中が老教師の悲しく過酷な人生を物語っているようです。本国のHPによると、非常に手間のかかる特殊メイクを施したんだそうです。でも、あのオーラはメイクの効果だけではなく、演技力のなせる業なのだと思います。普段の写真とは全く違う姿に、女優とはかくあるべきだと思いました。

 ジェニーと同じ刑務所に収容されている受刑囚を演じたのはヤスミン・タバタバイ。イラン人とドイツ人の両親を持ち、「バンディッツ」で一躍有名になりました。美人というわけではないのですが、荒んだ少女を演じさせるとピカイチという気がするのは私の偏見でしょうか。そういえば「バンディッツ」でも受刑囚役でした。余談ですが、プライベートのパートナーは「GSG9」のコニー役で人気者となった(らしい)アンドレアス・ピーチュマンです。(GSG9は未見でして…すみません)

 ドイツ映画らしい、重いテーマではありますが、随所に「クスッ」と笑える演出も織り交ぜてあります。クリューガーが着るハメになるTシャツの柄に、それが「日独共通の下ネタ」であることを確認。一人で感動してしまいました。刑務官の娘が登場しますが、その女の子がとっても可愛い。その愛らしい女の子にクリューガーが厳しく言い放つ言葉「Kannst du knicksen?(←このままのセリフじゃなかったかもしれませんが、これに近かったと思います。knicksen は、膝をかがめてお辞儀することですよね。欧米の淑女がよくやるような。「あなた、お辞儀はきちんとできるの?」といった意味です)が、様々な意味を持っております。

 公式HPのトレーラーにも映っていますが、ジェニーがピアノを弾くシーンが圧巻。ジェニーの人並み外れた才能が伝わってきます。テーマが重いだけに、後味は「あ~面白かった♪スッキリ♪♪」といったものではないのですが、私は個人的にはこういう重い映画が好きです。ジェニーはクリューガー教師に心を少しずつ開いていくわけですが、「あなたに対し、個人的な関心はありません、私が愛しているのは音楽だけ」と言い切るクリューガーにも明らかに感情の変化が芽生えています。その経過が様々な形で表現されていて、好感が持てる映画だと思いました。
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  • 名演技に引き込まれ

    いや~そうくるか~と思ったラストでした。
    ドイツらしい感じがして、自分も好きです、こんな終わり方。

    モーリッツ君のママの老け顔にびっくりしましたが、これって特殊メイクだったんですよね。
    実際のお顔とのギャップに驚いた事を今も覚えています。

    主人公の彼女はボクシングも習ったですか?
    ピアノを弾けるとオーディションで言ったのは凄いですね。でも、みんなそういうのってあるようですよ。
    (アントニオ・バンデラスもアメリカ映画に出演の時、英語しゃべれないのに話せると言ったそうですので)

    >プライベートのパートナーは「GSG9」のコニー役で人気者となったアンドレアス・ピーチュマンです。
    お~!!それは知りませんでした。今から思い出さないと、女優さんのお顔。(男優しか興味がないので、女優さんの顔はすぐ忘れてしまうのです)
    余談ですが。
    アンドレアス・ピーチュマンは、正当派の2枚目顔です。
    見ればきっとありちゅんさんも好きになるかも?
    「ヴィーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由」という作品でゲイを演じています。GSG9よりもお手軽に見れるかも?

  • ですよねですよね~

    ★takboutさん コメントありがとうございます~ 主人公を演じたハンナー・ヘルツシュプルングさん、これがスクリーンデビューだとは思えないほどの演技力でしたよねー。モーリッツのママはベテラン女優だから上手なのは理解できますが、ハンナーさんは駆け出しなのにあの存在感。この作品がもっとも彼女に合ってるような気がします。あれから何本か、彼女が出ている作品を見ましたが、「4分間」ほどのインパクトはなかったような…。これを越えるのは大変そうですね。ところでアンドレアス・ピーチュマン、もちろん知ってますわ~♪ 結構(いや、かなり)好きでございます~。GSG9は見たことはないのですが、最初に見て「おお!」と思ったのが「ヴィーナス11」でした♪ あのサッカーのボールさばきがツボで…^^;髪の毛が薄くならないといいな~。あ~語り出すと止まらない~~ 何かの映画祭(ベルリン映画祭だったかな。記憶があやふやなのですが)で、ペアでレッドカーペットを歩いている写真をネットで見ました。ヤスミン・タバタバイは身重さんでした。

  • アンドレアス・ピーチュマンとヤスミン・タバタバイ

    ★takboutさん!! ツーショット写真です!(ワタシもゴシップ好き^^;) URLのところをクリックしてみてね★

  • わお!ツーショットだ

    やっぱり、すでにご覧になっていたんですね、「ビーナス11」。
    自分は、アンドレアス・ピーチュマンを「GSG9」で知りました。(シーズン2はまだ見てませんが)

    ツーショット画像を見て、あ~この女優さん!と分りました。
    ありがとうございました。

    >ハンナーさんは駆け出しなのにあの存在感。
    ベテランのモーリッツママと対等に演技してましたからね、凄い女優さんです。
    そういえば、自分も他の役の彼女をみた覚えがありますが、この印象とはほど遠いものでした。
    それにあまり印象にのこらなかったです。σ(^◇^;)

  • ヤスミンさんはワイルドですねー

    ★takboutさん こんにちは~v-278 コメントありがとうございます!はい~ たっぷりじっくり見ました~(謎)
    この女優さん、わりと見かけますよね。脇役が多いけれど、なぜだか存在感たっぷし。
    ハンナーさんは、「バーダー・マインホフ」とか「愛を読む人」とか、あちこちに出てるんですよねー。でもイマイチという気がします。やっぱり、「4分間」のイメージが強すぎるのかも。

  • No title

    ありちゅんさん、私もこの映画けっこう好きです!
    モニカ・ブライブトロイ、あれ特殊メイクだったんですか!
    実話が下敷きになっているんですよね。公開された時確か、トラウデ・クリューガーのモデルとなった女性の遺族がこの映画を訴えたんじゃなかったかな……… 今調べた限りでは詳細がみつからなかったんで、間違ってたらごめんなさい!同性愛者的に表現されているのが不満だとかそういう理由だったんじゃなかったかな……

  • おお、同志!

    ★kioさん こんにちは~ コメントありがとうございます。kioさんもお好きですかー。私も好きです。監督がインタビューで、「実際はどう見ても60歳くらいのモニカを80歳くらいに見せるために、時間をかけて特殊メイクをほどこした~云々」って言ってました。ご本人は既に60を越えてはいましたが、当時はぴんぴんしてらして、お肌も艶々していましたから。辛い過去を背負った孤独な老女、という雰囲気を出すためにいろいろ施したんでしょうね。これ、実話が基になっているんですか!知りませんでした。レズという設定でしたもんね。同性愛者にする必要性はあったのかなー?なんて私も思ってはしまいましたが。。。ハンナー・ヘルツシュプルングさんは、あれ以上の当たり役はないような気がします…。そのくらい衝撃的でしたよねー。

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