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2013/02/28(Thu)

ヒマラヤ 運命の山

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『ヒマラヤ 運命の山』(原題:Nanga Parbat)2009年
Joseph Vilsmaier(ヨゼフ・フィルスマイヤー)監督
Florian Stetter(フロリアン・シュテッター) ラインホルト・メスナー役
Andreas Tobias(アンドレアス・トビアス)ギュンター・メスナー役
Karl Markovics(カール・マルコヴィッチ)カール・マリア・ヘルリヒコッファー役

<チョ~簡単なあらすじ>
 「裸の山(周囲に何もないことから)」と呼ばれ、恐れられてきた8,125メートルの高峰ナンガ・パルバート。標高差4500メートル(!)というルパール壁がクライマーたちの挑戦を阻み、多くの犠牲者を出してきました。1970年、このナンガ・パルバートの初登頂を目指し、ドイツで遠征隊が組まれました。隊を率いるのはヘルリヒコッファー博士。メンバーの中にはラインホルト・メスナーと弟のギュンター・メスナーもいました。しかし山の状況の悪化によりメンバー内で対立が起こります。そんな中、メスナー兄弟は登頂に成功。ところが下山中、弟は無理な登山がたたり、衰弱してしまいます。極限状態に陥りながらも弟を励ます兄ラインホルト。しかし悪天候の中で弟の姿を見失ってしまいます。何度も意識を失いながらも、ラインホルトは奇跡的に生還。でも弟は戻りませんでした…。
 そんな兄を待っていたのは、マスコミの厳しいバッシングでした。弟の死は兄に責任があるというのです。凍傷で足の指を失い、心身ともに傷ついたラインホルトは、弟の遺体を探すべくたった1人でナンガ・パルバートに登るのでした…

*******************

 山には全く詳しくない私がご紹介するのもナンですが、素人の私でも「おお!」と思える映画でした。ラインホルト・メスナーって世界的に有名なクライマーなんだそうですね。南チロル(イタリア内のドイツ語圏です)出身で、“アルパイン・スタイル”で登ることで知られているんだそうです。

アルパイン・スタイルとは: 
『アルパイン・スタイル(Alpine-Style, アルプス風登山)とはヒマラヤの様な超高所や大岩壁をヨーロッパ・アルプスと同じ様な扱いで登ることを指す登山スタイル・用語。
大規模で組織立ったチームを編成して行う極地法とは異なり、ベースキャンプを出たあとは一気に登り、下界との接触は避ける。また、サポートチームから支援を受ける事もないし、あらかじめ設営されたキャンプ、固定ロープ、酸素ボンベ等も使わない、登る人の力にのみ頼ることを最重要視して行う登山スタイルである』(ウィキペディアから引用いたしました)


 弟の死の責任を問われたことで、遠征隊の隊長や周囲と対立。やがて裁判沙汰にまで発展するそうです。しかし弟の遺体が2005年に発見されたことで、彼の証言(無謀なルートを取ったのではと非難されていたそうですが、そのルートではなかったことを証明するとのこと)に信憑性が出てきたようです。この遺体は兄たちの手によって回収され、荼毘に付されたというのは私もニュースで聞いていました。

 本作はメスナーの証言をもとに作られているため、どうしてもメスナー寄り。だけど真実はどうなのかということより、なぜ山に登るのか、登山とはどういうものなのか、どういう心理状態に陥るのかとか、そういったことが伝わってきて興味深かったです。「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」というのは、あまりに有名な言葉ですが、どうもそんな純粋なものだけじゃない気がします。名声、お金、欲。人間である以上、そういったものも切り離せない。そんなところも伝わってくる作品でした。

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2012/03/09(Fri)

愛より強く

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『愛より強く(2004年)』 原題:Gegen die Wand
Fatih Akin (ファティ・アキン)監督、脚本
Birol Uenel(ビロル・ユーネル)ジャイト
Sibel Kekilli(シベル・ケキリ)シベル
Catrin Striebeck(カトリン・シュトリーベック)マレン
第54回ベルリン映画祭金熊賞受賞作

 トルコ系ドイツ人のジャイトは、最愛の妻を亡くしたことから自暴自棄になり、すさんだ生活を送ったあげく、壁に激突して(=Gegen die Wand)自殺を図ります。入院した病院で知り合ったのは、同じくトルコ系ドイツ人の女性シベルでした。自殺未遂を繰り返し、病院に入院していたのです。厳格で保守的なイスラム教徒の家に育ったシベルが欲しいものはただ一つ。それは自由でした。好きに恋愛を楽しみ、奔放に生きたかったのです。そんなシベルはジャイトに偽装結婚を持ちかけます。両親の家を出るには結婚するしかないと考えたのでした。同居するだけで、それ以上の迷惑はかけないとの条件で。渋々承知したジャイトは、シベルと結婚式を挙げ、同居生活をスタートさせるのでした。念願の自由を手に入れ、生活を満喫するシベル。そんな奔放なシベルにジャイトは惹かれていきます。そしてシベルに言いよる男を殺害し、収監されてしまいます。
 殺人事件が新聞で報道され、シベルは帰る場所を失います。彼女もまた、ジャイトを愛していることに気付くものの、時すでに遅し。彼女は傷心のまま、イスタンブールへ向かい、ドラッグと酒に溺れてしまいます。
 シベルの「待ってる」との言葉を信じたジャイトは、出所後すぐに彼女の元へ駆けつけます。しかしシベルは穏やかな暮らしをしていたのでした…。

***************************************

 本作がメジャーデビューとなるシベリ・キケリはまさにはまり役。あどけなさと妖艶さ、したたかさ、一途さなど、さまざまな面を見せてくれます。それまで無名だったとは思えないほど、スクリーンの中で存在感を放っています。本作でドイツ映画賞の主演女優賞の栄冠にも輝きました。また、酒とドラッグに溺れて荒んだ日々を過ごす男を演じさせたら、ビロル・ユーネルの右に出る人はいないんとちゃうかーと思うほど、これまたぴったり。死んだ妻が忘れられずに自暴自棄になる繊細さや、シベルに惹かれて殺人まで犯してしまう不器用さ、出所したあともシベルを追わずにはいられない一途さが見ていてとても切なく、悲しい。目で演技ができる人だな~と改めて感じました(ワタシ、実は隠れファンです)。一貫してドイツにおける移民を撮り続けてきたアキン監督の出世作。今回、この映画をブログに書こうと思い、久しぶりにDVDを見たのですが、この作品が持つエネルギーに改めて驚かされました。見終わったらすっかり疲れてしまって。アキン監督自身、相当なエネルギーをこの作品に込めたのではないかと思います。劇中で流れるトルコの音楽がとても効果的。エキゾチックで、どこか物悲しいのです。

 余談ですが、シベルの保守的な父親を演じたのは、「ソウル・キッチン」で味のある演技を披露していた「よっしゃ」な船長だったんですね…。初めて気づきました。キャラが違いすぎ。

   
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2011/10/19(Wed)

ワン・デイ・イン・ヨーロッパ

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『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』(原題:One Day In Europe)2005年
Hannes Stöhr (ハネス・シュテーア) 監督
Megan Gay (ミーガン・ゲイ) ケイト
Luidmila Tsvetkova (ルドミラ・ツヴェートコヴァ) エレナ
Florian Lukas (フロリアン・ルーカス) ロッコ
Erdal Yildiz (エルダル・イルディズ) セラル
Peter Scherer (ペーター・シェラー) ガボア
Miguel de Lira (ミゲル・デ・リラ) 警官
Boris Arquier (ボリス・アキエール) クロード
Rachida Brakni(ラシダ・ブラクニ) ラシダ

 この作品は同じ日にヨーロッパの4個所で起こる出来事を描いています。
1.エピソード・モスクワ
 ヨーロッパのチャンピオンズリーグ決勝。スペインのデポルティボ・ラコルーニャとトルコのガラタサライが激突するとあり、両国のサポーターが決勝の地、モスクワのルジニキ競技場へ向けて続々と集まっています。興奮したサポーターで現地は異様な雰囲気。そんな中、ビジネスでモスクワを訪れたイギリス人女性ケイトが盗難に遭います。それを目撃した中年女性エレナが助けてくれるものの、言葉が通じずケイトは苦労します。何とか警察へ行ったものの、警官たちはサッカー中継に夢中。取り合ってくれません。ケイトが1人イライラする中、とっぷり日は暮れていくのでした…。

2.エピソード・イスタンブール
 ドイツ人のロッコは、イスタンブールを旅行中。狂言強盗で保険金をだまし取ろうと画策します。助けに現れたのは、なぜかドイツ語(それもコテコテのシュヴァーベン訛り)を話すタクシー運転手セラル。ロッコはセラルの運転で警察へ行き、ウソの被害を申告します。ところがイスタンブールの警官たちはサッカー中継に夢中。ガラタサライの試合が気になり、まともに取り合ってくれません。そして強面の警察官にすごまれ、逆に拘束されてしまうのでした…

3.エピソード・サンティアゴ・デ・コンポステーラ
 巡礼の地として名高い古都を訪れた敬虔なガボア。巡礼のフィニッシュとして、大聖堂をバックに写真を撮ってもらおうと、行きずりの人にカメラを託します。ところがその人物はそのままカメラを持ち去ってしまいました。カメラより、たくさんの写真を失ったことがショックでならないガボアは、警察に被害を訴えます。ところが警官たちはサッカー中継に夢中。デポルティボ・ラコルーニャの結果が気になって仕方がありません。対応してくれた警官は愛人といちゃつく始末。ガボアはただただ呆然とするばかり…

4.エピソード・ベルリン
 大道芸人のカップル、クロードとルシダ。町を渡り歩いては、大道芸で日銭を稼いでおりました。しかしお金も底を突き、2人の間にすき間風が吹き始めます。クロードは狂言強盗を計画。警官に被害を訴えますが…

********************************************

 モスクワ、イスタンブール、サンティアゴ・デ・コンポステーラ、ベルリンの4都市で繰り広げられるハチャメチャっぷりをユーモラスに描いた作品です。共通点は「チャンピオンズリーグ決勝」と「盗難」と「旅行者」。ただそれだけなのですが、サッカーに熱狂して仕事が手につかない警官たちや、異様な盛り上がりを見せるサポーター集団、セコいことを考えて小金をせしめようとする旅行者たちが、何とも滑稽で憎めないのです。大きな盛り上がりはないけれど、なぜか面白い。日本でも最近はサッカーですっごく盛り上がるようになりましたが、伝統の点ではヨーロッパにはまだまだ追いつきません。というか、彼らの熱狂ぶりは日本の比じゃないって感じ。それが各エピソードに現れています。様々な言語が飛び交い意思疎通に困るけど、サッカーという共通語でつながってるって感じです。流れる音楽がエキゾチックで素敵。サッカー好きの方にお勧めです。サッカーシーンは全くないんだけどねっ






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2011/10/18(Tue)

ソウル・キッチン

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『ソウル・キッチン』(原題:Soul Kitchen)2009年
Fatih Akin (ファティ・アキン)監督、脚本
Adam Bousdoukos (アダム・ボウスドゥコス)脚本、ジノス・カザンザキス役
Birol Ünel (ビロル・ユーネル) シェイン
Moritz Bleibtreu (モーリッツ・ブライプトロイ)イリアス・カザンザキス
Anna Bederke (アンナ・ベデルケ) ルチア
Pheline Roggan (フェリーヌ・ロッガン)ナディーン
Wotan Wilke Moehring (ヴォタン・ヴィルケ・メーリング)トーマス・ノイマン
Udo Kier (ウド・キア)投資家

 ジノスはギリシア系移民。ハンブルクで「ソウル・キッチン」という場末ちっくな食堂を経営しています。出す料理は冷凍食品ばかり。しかし安いため、そこそこ客は入っています。ところがある日、壊れた食洗機を運び出そうとしてギックリ腰に。ここから少しずつ歯車がズレ始めます。上海の特派員となった恋人のナディーンは中国へ赴任。一方、兄イリアスが刑務所から仮出所で出てきます。働き口があれば定期的にシャバへ出られるということで、無理に弟の店に押しかけてきたのでした。ところがジノスは災難続き。腰痛のためにまともに厨房に立てないだけでなく、滞納していた税金の取り立てでステレオのセットを差し押さえられてしまいます。同級生の不動産業者トーマス・ノイマンは「ソウル・キッチン」の土地に目をつけ、密かに営業妨害を画策。店を乗っ取ろうとします。

 そんな時、変人で流れ者の天才シェフ、シェインと出会います。「愛とセックスと魂と伝統は売っちゃいけねえ」がモットー。そんなシェインをスカウトしたところ、魂のこもったその料理にお客が殺到。傾きかけていた「ソウル・キッチン」は大繁盛します。ところが喜んだのもつかの間、遠距離恋愛中の恋人ナディーンの態度がよそよそしくなります。どうやら現地で恋人ができた模様。いてもたってもいられないジノスは、店を兄に任せて上海へ行く決心を固めます。一方、店を狙うノイマンが、イリアスを誘惑に誘うのでした。そして「ソウル・キッチン」は乗っ取られてしまいます…。

******************************

一貫して「移民」や「異文化」をテーマに映画を撮り続けてきたトルコ系ドイツ人監督ファティ・アキンのコメディです。これでもか、これでもかとトラブルがジノスを襲うのですが、なぜかめげないジノス。ひたすら正直に生きています。ところが兄のイリアスはトラブルメーカー。盗みで捕まり、服役中なのでした。昼間のみ仮出所が許されたものの、なかなか真面目に生きることができません。とにかくアホなんですな、この兄貴。だけどなぜかいとおしく思えるバカさ加減。演じるのは、今やドイツを代表する俳優の1人となったモーリッツ・ブライプトロイ。この人、こういういい加減な兄ちゃんの役がホントに上手。うさん臭さ全開なのです。だけど憎めない。ゴールドのチェーンをちゃらちゃら振り回す仕草が笑えます。

 風来坊のシェフを演じるビロル・ユーネルがとっても素敵。酒浸りなのですが、いったんナイフを手に握ると人が変わったよう。役作りのため、実際にシェフについて包丁さばいなどを習ったんだそうです。もっと出演させてほしかったなーと個人的には思ったのですが、監督がおっしゃるには、「どこからともなく現れ、いつの間にか消えていく」のが理想だったんだとか。流れ者であり、旅人ですもんね。終着駅はまだまだ先。自分探しの旅が続くのです。ビロル・ユーネルは、アキン監督の出世作「愛より強く」で一気に有名になったトルコ系の俳優さん。個人的にとっても好きです♪ 

 ナディーン役のフェリーヌ・ロッガンさんはモデルだけあってスタイル抜群です。その他、仁丹…ぢゃなかった、タブレット好きな謎の投資家とか、年中お船を磨いている「よっしゃ!」な船長とか、ボヨヨンな税務署の女性係官とか、骨折りケマルとか、とにかくキャラの濃ゆ~い人たちが脇を固めています。濃いです、ホントに。みんなおバカだけどヒュ~マン。あの溜まり場に集まる連中に、根っからの悪人なんていやしない。音楽好きでDJの経験もあるアキン監督らしく、音楽がとてもソウルでナイスです。人種偏見とか、異文化による衝突とか、そういったことでいがみ合うのがおかしく思えてくる、そんな素敵な映画です。とってもオススメ♪



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2011/10/04(Tue)

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

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『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(原題:Knockin' on Heaven's Door)1997年
Thomas Jahn (トーマス・ヤーン) 監督
Thomas Jahn, Til Schweiger (トーマス・ヤーン、ティル・シュヴァイガー) 脚本
Til Schweiger (ティル・シュヴァイガー) マーチン
Jan Josef Liefers (ヤン・ヨーゼフ・リーファース) ルディ
Thierry van Verveke (ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ)ヘンク
Moritz bleibreu (モーリッツ・ブライプトロイ)アブドゥル

 マーチンとルディは、たまたま同じ病院に入院したことで知り合います。2人とも、余命いくばくもないと宣告を受けた身でした。自暴自棄になりかけるルディにマーチンが言います。「海を見たことがないと、天国へ行って笑われるぞ。あそこでは今、海の話が流行ってるんだ」 そこで2人は車を盗み、ルディがまだ見たことのない海を見に出かけます。ところがその車はギャングの車。中に危ないカネが積まれていたのです。それを取り返そうとするギャングのヘンクと頭が少々弱いアブドゥルの2人。警察の追跡も加わり、珍道中となるのでした…。

****************************

 これまた、とっても有名な映画。私が感想を書いたところで、「今さら感」たっぷりなのですが、もしかしてまだご覧になったことがない人もいらっしゃるかもと思って書いちゃいます。是非是非ご覧になってくださいませ。ドタバタなロードムービーなのですが、随所にホロリと来る要素がたっぷり。おバカなシーンにププっと笑いながらも、一抹の寂しさが、そしてなぜか「ほのぼの感」も感じられます。主演のほかに脚本(共同作業ですが)も担当したティル・シュヴァイガーはこれで世界的にも大ブレイク。既にドイツ国内では「超」がつくほどの人気者だったそうですが、演技だけでなく、映画作りの才能も世に示したかたちとなりました。本作のあと、彼は監督業も手がけるようになり、次々とヒット作を世に送り出しています。ったく、「マルチ」という言葉がぴったり。役者・脚本家・監督・プロデューサー。何でもできちゃう。ただ、ティル・シュヴァイガーの作品って日本ではあまりDVD化されていないのが残念。セリフも非常に凝っていて面白い作品が多いのですが、オリジナルのドイツ語から他言語に訳すと面白さや持ち味が半減してしまうケースが多いような気がします。だからかしら。残念!

 脚本家は当時無名だった新人。いつか脚本家になりたいと思いつつ、タクシーのドライバーをしていたと本人がインタビューで打ち明けています。ある日、書店で偶然ティル・シュヴァイガーを見つけ、話しかけた上で脚本を彼に送り付けたとか。それを見たティルは「いける!」と思ったのか、すぐに映画化に向けて行動開始。それが大当たりとなったそうです。主演2人の演技はもちろんですが(ヤン・ヨーゼフ・リーファースは日本では無名ですが、ドイツではあちこちで見かける演技派の俳優さんです)ギャング2人の演技もコミカルで楽しい。ティエリー・ファン・ヴェルフェーケはルクセンブルクの俳優ですが、惜しくも昨年亡くなりました…。ちょっとマヌケなギャング、アブドゥル役のモーリッツ・ブライプトロイは、この頃から存在感ありまくり。この人も、どんな役でもこなせる役者さんですね。「海を見ておかないと、天国で笑われる」という発想もツボ。日本のように海に囲まれているわけではないので、北に行かない限り海は見られないですよね。

<おまけ>
 最後の最後に、不思議なおじさんが出てきます。これは今年の1月に急逝した名プロデューサー&名脚本家、ベルント・アイヒンガー。この作品のためにカメオ出演したのでした。「薔薇の名前」「ネバーエンディングストーリー」「ヒトラー 最期の12日間」「パフューム ある人殺しの物語」などを手掛けた、ドイツではとってもとっても有名でビッグな人でした。

 もし、もおぉぉぉ~し、ご覧になったことがなかったら、是非是非見てみてくださいねー。(って、ワタシが作ったんじゃないのですが…^^;)

☆主題歌(本編のシーンが見られます)



 
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2011/09/16(Fri)

ヴィーナス11(イレブン) 彼女がサッカーを嫌いな理由

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『ヴィーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由(わけ)』(原題:FC Venus - Elf Paare müsst ihr sein)2006年
Ute Wieland (ウテ・ヴィーラント) 監督
Christian Ulmen (クリスティアン・ウルメン)パウル・ブルーン
Nora Tschirner (ノーラ・チルナー)アンナ
Anneke Kim Sarnau (アンネケ・キム・ザルナウ)キム・ヴァーグナー
Florian Lukas (フローリアン・ルーカス) シュテフェン・ハーゲン
Andreas Pietschmann (アンドレアス・ピーチュマン) マーク・リッター

<簡単なあらすじ>
 サッカーが命のパウルは、親友シュテフェンの頼みでベルリンを離れ、生まれ故郷に戻ります。パートナーのアンナも仕事を辞め、パウルについて行きます。アンナは転職のための引っ越しだと思い込んでいたのですが、本当の理由は別のところにありました。故郷のサッカーチームのメンバーが負傷し、助っ人に呼ばれたのでした。ところがアンナは大のサッカー嫌い。それをよく知るパウルは、とても理由を言い出せなかったのです。引っ越し後に本当の理由を知ったアンナは激怒。同じく、パートナーのサッカー好きに嫌気がさしていた妻や恋人たちが意気投合し、夫に賭けを持ちかけます。「サッカー対決を行い、女性チームが勝てば、サッカーを禁止する。男性チームが勝てばサッカー解禁。ただし女性チームのメンバーは、男性チームのメンバーと関係を持った者とする。」これが賭けの内容でした。サッカーをしたこともない女性に負けるはずがないと考えたパウルたちは、賭けを快諾します。

 パートナーにサッカーを禁止すべく、女性たちはサッカーの練習を始めます。アンナはU15の代表選手だった過去をカミングアウト。このことはパウルも知りません。有名なサッカー監督だった父に反発し、サッカーをやめてしまったのでした。しかしアンナ以外の女性たちはみんな素人。とても試合になりません。考えた末、アンナは知り合いの女子サッカー選手に助っ人を頼みます。ネックなのは「男子選手と関係があった女性をチームのメンバーとする」という賭けの条件。それをクリアするため、彼女たちは驚くべき手段に出ます。さらにゲイのメンバーも合流。いよいよ試合が始まりました…

***************************

なでしこフィーバーに便乗してご紹介しちゃいます。すっごく楽しい映画です。フィンランド映画をリメイクした作品で、三度のメシよりもサッカーが好きという男たちにウンザリしていた女性が立ち上がるという痛快なストーリー。随所にぷぷっと笑える演出があって楽しめます。ヒロインのノーラ・チルナーはティル・シュヴァイガーのラブコメ常連ですが、こういったコメディがよく似合う女優さんです。女性も男性もキャラ揃い。主役のクリスティアン・ウルメンはお人好しでちょっとヌケてるキャラがぴったり。親友役のフローリアン・ルーカスもいい味出しています。イケメン俳優アンドレアス・ピーチュマンがなんとオカマ役。くねくねしているのに、ひとたびサッカーボールを蹴り始めると別人のようになるのが素敵。DVDのジャケットは何となくチャチな印象を受けますが、とんでもない。しっかり作ってある楽しい作品です。ちょっぴり下ネタも入っていますが、なぜか下品じゃない。オススメです。





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2011/08/19(Fri)

ハイジャック181

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『ハイジャック181』(原題:Mogadischu)、2008年
Roland Suso Richter (ローラント・ズゾ・リヒター)監督
Thomas Kretschmann (トーマス・クレッチマン)ユルゲン・シューマン機長役
Nadja Uhl (ナディヤ・ウール)客室乗務員ガービ役
Said Taghmaoui (サイド・タグマオウィ)マフムート役
Herbert Knaup (ヘルベルト・クナウプ)GSG9隊長ヴェーゲナー役
Christian Berkel (クリスティアン・ベルケル)シュミット首相役

<簡単なあらすじ>
 時は1977年。ドイツではRAF(ドイツ赤軍派)によるテロの嵐が吹き荒れていました。政治家や企業家が誘拐や暗殺の憂き目に遭い、爆破事件も頻発。経済界の重鎮マルティン・シュライヤーもRAFのメンバーに誘拐された1人でした。彼らの目的は、刑務所で服役中の仲間を釈放させることでした。しかし政府はテロリストとの交渉を拒み、釈放に応じようとしません。業を煮やしたRAFは共闘関係にあったパレスチナゲリラに接近。政府にさらなる圧力をかけるため、ルフトハンザ「ランツフート号」のハイジャックという手段に出ます。

 スペインのマヨルカ島からドイツへ戻るはずだった「ランツフート号」の機長はユルゲン・シューマン。彼はあくまでも冷静に対応し、4人組のハイジャック犯をできるだけ刺激しないように努めます。機長は犯人が命じるまま、ローマ、キプロス、ドバイ、南イエメンへと飛ぶのでした。

 乗客を救いたい機長は犯人に隠れて無線でこっそり犯人の人数をドイツに伝えます。ところがその情報が現地のラジオに流され、犯人の耳に入ります。態度を硬化させた犯人は機長を射殺。「ランツフート号」は副機長の操縦でソマリアのモガディシュへ。そして再三、要求を受け入れなければ機体を爆破させるとドイツ政府に迫ります。

 時の首相シュミットはテロリストとの交渉を一切拒否。その上で、特殊部隊GSG9に突入の機会をうかがわせていました1972年のミュンヘンオリンピックで起きたテロ事件の苦い教訓から結成された精鋭部隊です。刻々と期限が迫る中、人質の救出作戦が始まりました…。

************************************

日本語版DVDのパッケージはアクションドラマのようですが、本作はむしろ歴史ドラマ。事件を忠実に再現した作品です。テレビ映画とは言え、緊迫する機内の様子やGSG9の突入シーンはとてもリアル。日本ではそれほど知られていないRAF(ドイツ赤軍派)ですが、60~70年代にドイツ国民を震撼させたと言われています。「バーダー・マインホフ 理想の果てに」と合わせてご覧になるといいかも♪

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2011/08/19(Fri)

バーダー・マインホフ 理想の果てに

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『バーダー・マインホフ 理想の果てに』(原題:Der Baader Meinhof Komplex)、2008年
Uli Edel(ウリ・エーデル)監督
Bernd Eichinger(ベルント・アイヒンガー)脚本
Moritz Bleibtreu(モーリッツ・ブライプトロイ)アンドレアス・バーダー役
Martina Gedeck(マルティナ・ゲデック)ウルリケ・マインホフ役
Johanna Wokalek(ヨハンナ・ヴォカレク)グードゥルン・エンスリン役
Bruno Ganz(ブルーノ・ガンツ)ホルスト・ヘロルト連邦刑事庁長官役

(公開当時、拙ブログに書いた感想を少し直して転載いたしました)

<簡単なあらすじ>
 時は1967年。イランのパーレビ国王のベルリン訪問に反対する若者たちがベルリンでデモを起こします。そこで悲劇が起きました。学生が警官に撃たれたのです(この警官が実は東ドイツ秘密警察の密偵だったことが最近になって判明します)。これをきっかけにデモは過激になります。折りしもベトナム戦争が泥沼化し、反米感情も高まっていたころ。のちにドイツ赤軍派(RAF)の初期メンバーとなるアンドレアス・バーダーがベトナム戦争に抗議し、仲間とともに百貨店に放火。そしてその後、逮捕されます。一方、ジャーナリストだったウルリケ・マインホフも左傾化し、激しい論調の手記を雑誌に投稿するようになります。

 やがてバーダーは仲間の手引きにより脱獄。そしてウルリケ・マインホフと出会うことにより、ドイツ赤軍派が誕生します。彼らは銀行強盗や爆弾テロを繰り返し、世間を震撼させます。そんなとき、ホルスト・ヘロルトがBKA(連邦刑事庁)長官に就任。コンピューターを駆使する最新技術を投入し、断固テロリストたちと戦う姿勢を見せるのでした。やがて初期のメンバーが次々と逮捕され、投獄されていきますが、RAFでは第二世代と呼ばれるメンバーが育っていました。

 投獄されたメンバーたちはハンガーストライキを決行。1名が死亡します。精神的に追い詰められたウルリケ・マインホフは独房の中で首を吊って自殺。その自殺をRAFメンバーは国家権力によって処刑されたと世論に訴え、獄中の仲間を釈放させるべく、さらにテロ行為を激化させるのでした。

 追い詰められたメンバーはパレスチナゲリラと組み、ルフトハンザ機181便「ランツフート号」のハイジャックを企てます。目的は仲間の釈放でした。しかし時のシュミット首相は毅然とした態度で臨み、テロリストとの交渉や妥協を一切拒みます。そしてミュンヘンオリンピックのテロ事件での苦い経験を元に結成された警察の特殊部隊GSG-9投入を決定。そして突入の末、人質の救出に成功します。その知らせに落胆するメンバーたち。そしてその結末は…

*******************************

 本作は1967年のパーレビ国王ベルリン訪問に反対するデモから始まり、1977年のルフトハンザハイジャック事件や実業家シュライヤー氏誘拐・殺害事件までの10年間を描いております。この10年間を2時間半に凝縮するのは、確かに大変だったと思います。ドイツの60年代、70年代の歴史がコンパクトにまとめられております。テロリストのドンパチが多いため、派手なアクション映画と思われがちなのですが、さにあらず。監督の話では、実際に撃たれた弾の数を調べ、忠実に再現したとのこと。観客をひきつけるための大げさな演出ではなく、あくまでも史実に基づいたものと知り、むしろ歴史の再現ドラマに近いという印象を受けました。

 モーリッツ・ブライプトロイはすんごい存在感。彼が出てきただけで、画面の空気が変わったような気がします。オーラ出まくり。彼を見ていると「演技をしている」という感じがまったくしません。役作りがうまいのか、それとも天性のカンで役になりきってしまうのか。とにかく難しい役を次々と完璧にこなす役者だな~と改めて感心。マルティナ・ゲデックも相変わらずの存在感。ノーメークに近いメークとボサボサ髪。独房で次第に精神のバランスを崩していく様を見事に表していました。見ていて感心したのがヨハンナ・ヴォカレク。この女優さんは「アイガー北壁」で幼なじみの記者を演じた人ですが、そのときは素朴で垢抜けない印象でした。その印象が一変。ハマり役だったように思います。

 そのほかにも、アレクサンドラ・マリア・ララ(めちゃくちゃキレイ!以前より華やかさが増したような…)、ハイノ・フェルヒ(映画「トンネル」でトンネル掘った人)、ハンナー・ヘルツシュプルング(初主演映画「4分間のピアニスト」でブレイクした女優さん)など、華やかな顔ぶれが見られました。

 この作品はテロリストたちを美化して描くこともなければ「巨悪」として描くスタンスでもなく、淡々と史実を追っているように思います。あの時代をどう判断するかは見る側に委ねられているのでしょう。

 ドイツの戦後史のキーワードRAF。現代の日本ではそれほど取り上げられることもありませんが、本作を観るとRAFのことが少し分かるような気がします。彼らの主張には正直な話、共感できませんし、彼らが自分たちのイデオロギーを正当化して起こしたテロ行為にも嫌悪感を覚えます。それでも驚いたのは、彼らが放つすさまじいエネルギー。デモで学生に発砲した警官が実はシュタージの手先だったことが最近明らかになりましたが、仮にその事実が当時明らかになったとしても、別のきっかけでRAF は生まれていたんではないか、と思えました。そのくらい、彼らのエネルギーは激しかったのではないかと。地下にたまったマグマが吹き出るような印象を受けました。なぜ彼らはあのような行為に走ったのか。何が彼らをそうさせたのか。世間は彼らをどう見ていたのか。難しいテーマですが、RAFを知るきっかけになると思います。ドイツにご興味がある方は必見♪ 「ハイジャック181」と合わせてご覧になると面白いかも。

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(本国の予告編です)



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2011/08/07(Sun)

4分間のピアニスト

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『4分間のピアニスト』(原題:Vier Minuten、2006年)
Chris Kraus (クリス・クラウス)監督
Monica Bleibtreu(モニカ・ブライプトロイ)トラウデ・クリューガー
Hannah Herzsprung(ハンナー・ヘルツシュプルング)ジェニー・フォン・レーベン
Jasmin Tabatabai(ヤスミン・タバタバイ)アイゼ
Vadim Glowna(ヴァディム・グロヴナ)ジェニーの父
公式サイト(日本語)

 トラウデ・クリューガーは老いたピアノ教師。刑務所で受刑囚にピアノを教えています。ジェニー・フォン・レーベンも教え子の一人。類まれなる才能の持ち主ではあるものの、殺人罪で服役中の身でした。忌まわしい過去がトラウマとなり、極度の人間不信に陥ったジェニーは、固く心を閉ざしています。クリューガーはそんな彼女の才能を見抜き、周囲の反対を押し切って彼女をコンクールに出場させようとします。クリューガーもまた、戦時中に最愛の人を失い、ピアノの才能に恵まれながらもそれを生かすすべもなく、心に傷を負って孤独に生きている一人だったのです。

 ジェニーに正統派の演奏法を教え込もうとするクリューガー。愛を知らずに育ったジェニーはクリューガーの教えを素直に受けることができません。たびたび癇癪を起こしては人を傷つけ、問題を起こします。それでも根気強くピアノを指導するクリューガーに、ジェニーは少しずつ心を開いていくのでした。

 しかし、ジェニーに手を焼く刑務官たちはコンクールの決勝を目前にした彼女にピアノを禁止してしまいます。ジェニーの才能を信じるクリューガーは、オペラ座で4分間の演奏をさせるべく、驚くべき行動に出るのでした…

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 ジェニーを演じたハンナー・ヘルツシュプルングは、これがスクリーンデビューなんだそうです。それまでもテレビなどには端役で出ていたそうですが、あまり目立った存在ではなかったとのこと。でも、その話が信じられないほど卓越した演技力を見せています。童顔なだけに、突然「ブチ切れる」エキセントリックさがよく出ていたと思いました。本国HPによると、役作りのために数か月にわたってピアノのレッスンを受け、ボクシングのトレーニングも3ヶ月間続けたそうです。確かに演奏中、背中の筋肉が際立っていました。あれはトレーニングの賜物なんですね。インタビューで打ち明けていましたが、オーディションに合格したいあまり、「ピアノが弾けます」と言ってしまったと。監督も、てっきりピアノが弾けるものと思い込んでいたそうで、「実は弾けない」ことが分かったとたん、ガーン!となったらしいです…。

 老いたピアノ教師を演じたのは、故モニカ・ブライプトロイ。あのモーリッツ・ブライプトロイのママなのでありました。撮影当時は60過ぎだったはずですが、80歳くらいの老女を見事に演じていました。顔に深く刻まれたしわと丸まった背中が老教師の悲しく過酷な人生を物語っているようです。本国のHPによると、非常に手間のかかる特殊メイクを施したんだそうです。でも、あのオーラはメイクの効果だけではなく、演技力のなせる業なのだと思います。普段の写真とは全く違う姿に、女優とはかくあるべきだと思いました。

 ジェニーと同じ刑務所に収容されている受刑囚を演じたのはヤスミン・タバタバイ。イラン人とドイツ人の両親を持ち、「バンディッツ」で一躍有名になりました。美人というわけではないのですが、荒んだ少女を演じさせるとピカイチという気がするのは私の偏見でしょうか。そういえば「バンディッツ」でも受刑囚役でした。余談ですが、プライベートのパートナーは「GSG9」のコニー役で人気者となった(らしい)アンドレアス・ピーチュマンです。(GSG9は未見でして…すみません)

 ドイツ映画らしい、重いテーマではありますが、随所に「クスッ」と笑える演出も織り交ぜてあります。クリューガーが着るハメになるTシャツの柄に、それが「日独共通の下ネタ」であることを確認。一人で感動してしまいました。刑務官の娘が登場しますが、その女の子がとっても可愛い。その愛らしい女の子にクリューガーが厳しく言い放つ言葉「Kannst du knicksen?(←このままのセリフじゃなかったかもしれませんが、これに近かったと思います。knicksen は、膝をかがめてお辞儀することですよね。欧米の淑女がよくやるような。「あなた、お辞儀はきちんとできるの?」といった意味です)が、様々な意味を持っております。

 公式HPのトレーラーにも映っていますが、ジェニーがピアノを弾くシーンが圧巻。ジェニーの人並み外れた才能が伝わってきます。テーマが重いだけに、後味は「あ~面白かった♪スッキリ♪♪」といったものではないのですが、私は個人的にはこういう重い映画が好きです。ジェニーはクリューガー教師に心を少しずつ開いていくわけですが、「あなたに対し、個人的な関心はありません、私が愛しているのは音楽だけ」と言い切るクリューガーにも明らかに感情の変化が芽生えています。その経過が様々な形で表現されていて、好感が持てる映画だと思いました。
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2011/07/25(Mon)

みえない雲

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『みえない雲』 (原題:Die Wolke、2006年)
Gudrun Pansewang (グードゥルン・パウゼヴァング)原作
Gregor Schnitzler (グレゴアー・シュニッツラー)監督
Marco Kreuzpaintner (マルコ・クロイツパイントナー)脚本
Paula Kalenberg (パウラ・カレンベルク) ハンナ
Franz Dinda (フランツ・ディンダ) エルマー
映画情報サイト(ドイツ語)

 ハンナは、どこにでもいるごく普通の高校生。幼い弟ウリーと母親の3人で幸せな生活を送っていました。あるとき、前から気になっていた男子生徒エルマーに誘い出されました。突然のキスにとまどっているうちに校内のサイレンが鳴ります。近くの原子力発電所で事故が発生し、放射線が漏れ出したことを知らせる警報でした。慌てて家に帰る生徒たち。ハンナが自宅に戻ると、弟も家に帰っていました。出張中の母から電話が入りますが、通話は途中で切れてしまいます。母の身を案じつつ、エルマーが迎えに来てくれるのを待つハンナでした。

 しかしラジオの報道を聴いたハンナは、自転車で避難することに決めます。町は逃げだそうとする人であふれていました。ところが避難中、弟のウリーが交通事故に遭います。呆然とするハンナ。すぐそばまで、放射線を含んだ雲が迫っていました。雨に打たれたハンナは病院に担ぎ込まれたものの、被曝による重い後遺症に苦しむのでした。体の不調だけでなく、差別という見えない後遺症にも。

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 この映画が公開されたときは、まさか似た事故が日本でも起きるとは思ってもいませんでした。監督がインタビューで言っていました。「日本にはこれだけたくさんの原発があるのに、なぜ無関心でいられるんだろう?」 その言葉が、今になって重くのしかかります…。ハンナを演じたパウラ・カレンベルクさんは、チェルノブイリ事故が起きた86年生まれ。来日時のインタビューで片方の肺がなく、心臓に穴が開いていたという衝撃の告白を行います。事故と関連があるかどうかは不明ですが。(役作りで頭髪をすべて剃った彼女でしたが、来日時は髪も伸びていました。舞台挨拶を見たのですが、とってもかわいらしい女性でした。)最初こそ牧歌的な雰囲気の中、ほのぼのとしたムードで物語は進行していくのですが、中盤~後半は重苦しいです。ただ、そんな中でも主人公がけなげかつ前向きでいるのが救いです。

 本作は同名の小説を映画化したものです。86年に起きたチェルノブイリ事故で深刻な被害を受けたドイツは、原発に対する意識が高い国です。この映画が公開された頃、原発事故を「他人事」と思っていた自分が恥ずかしいです…。

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         小学館文庫「みえない雲」
         グードルン・パウゼヴァング 原作
         高田ゆみ子 訳
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