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    Author:ありちゅん
    字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が、字幕ほにゃくハリ「ぐ~ちゃん」とともに書くドイツ映画日記

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2013/11/26(Tue)

『字幕ほにゃく犬のドイツ映画鑑賞日記』

 当ブログにようこそおいでくださいました。字幕ほにゃく犬の「ありちゅん」と申します。ドイツ映画を幅広くご紹介したいと思い、このブログを始めました。DVDやテレビ、ネット配信など、日本で視聴できる新旧の作品を中心に書いていきたいと思います。研究者というわけではないので、至らぬ点、素人くさい点など多々あると思いますが、どうぞ長い目で見てやってくださいませ。このブログにお立ち寄りいただいた方に「ほ~この映画、見てみようかな~」と思っていただけたら本望でございます。少しずつ更新していく予定です。下の「もくじ」にUPいたしますので、ご興味のあるタイトルをクリックしてくださいませ。

 

<もくじ>

1)無声映画~トーキー
  カリガリ博士の小屋
  吸血鬼ノスフェラトゥ
  最後の人
  プラーグの大学生
  メトロポリス

  嘆きの天使

2)古い時代を描いた映画

3)第一次大戦のころ(WW1の時代に作られた映画&WW1の頃を描いた映画)
  白いリボン

4)第二次大戦のころ(WW2の時代に作られた映画&WW2の頃を描いた映画)
  アイガー北壁
  暗い日曜日
  白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
  ドレスデン、運命の日
  ヒトラー ~最期の12日間~
  ヒトラーの贋札
  ベルリン陥落1945
  ミケランジェロの暗号

5)ニュー・ジャーマン・シネマ
  都会のアリス

6)東西ドイツ関連
  グッバイ、レーニン!
  善き人のためのソナタ

7)音楽モノ
  哀愁のトロイメライ ~クララ・シューマン物語~
  クララ・シューマン 愛の協奏曲

8)ホラー・サスペンス
  アナトミー

9)アクション

10)現代のドイツ
  愛より強く
  ソウル・キッチン
  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
  バーダー・マインホフ 理想の果てに
  ハイジャック181
  ビーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由
  ヒマラヤ 運命の山
  ビヨンド・サイレンス
  みえない雲
  4分間のピアニスト
  ワン・デイ・イン・ヨーロッパ

10)東ドイツ時代の映画
  殺人者は我々の中にいる
  パウルとパウラの伝説

11)その他の国
  マルタのやさしい刺繍

12)映画全般
  UFA(ウーファ)映画会社
  FSK(ドイツのレイティング組織)
  インディア~ナ~フィルム 東西比較、そしてパロディ
  Heimatfilm (郷土映画)



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2013/06/22(Sat)

日本で見られるオススメ ドイツ映画

 先日、某所でプチ講義を担当させていただきました。その際に「お土産」として押し付けてしまった資料をここにも貼りつけてしまいます。簡単な内容ですが、「ドイツ映画でも見てみようかな~でも、どれを見たらいいのか分からないな~」なんて思っていらっしゃる方の一助になれば幸いです。

●サイレント映画~トーキー初期

「カリガリ博士の小屋」 (Das Kabinett des Doktor Caligari)1920年
ロベルト・ヴィーネ(Robert Wiene)監督
夢遊病患者ツェザーレを見世物にしながら各地の歳の市を回るカリガリ博士の物語。この博士が現れた町で、不気味な連続殺人事件が起こる。ドイツ表現主義映画の代表的作品。デフォルメされた舞台装置、光と影を駆使した映像、不気味なメイクを施した登場人物は、見る者に強烈な印象を与える。

「吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響曲」 (Nosferatu, eine Symphonie des Grauens)1922年
F・W・ムルナウ(F.W.Murnau)監督
フリッツ・ラングと並び称せられる名監督フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ムルナウの作品。元祖吸血鬼映画であり、ホラーの原点とも言われる。光と影を効果的に使った映像は見る者を魅了する。過激なホラー映画を見慣れた現代の我々からすると、「ノスフェラトゥ」は確かに迫力に欠けるが、世界のトレンドを作り出した当時のドイツ映画界の勢いが伝わってくる作品。

「メトロポリス」 (Metropolis)1927年
フリッツ・ラング(Fritz Lang)監督
ユダヤ系の映画監督フリッツ・ラングがアメリカへ亡命する前に撮ったサイレント映画。未来都市を舞台にしており、SF映画の原点と呼ぶのにふさわしい作品。フリッツ・ラングはユダヤ系であったため、ナチの迫害を恐れてアメリカへ渡ったとされている。ただし最近の研究によると、ゲッベルスはラングの才能を高く評価していたという。むしろラングのほうからナチに売り込みをかけていたとの話。

「死の銀嶺」 (Die weisse Hölle vom Piz Palü)1929年
アーノルト・ファンク(Arnold Fanck)、G・W・パープスト(G.W.Pabst)監督
スイス・アルプスの「ピッツ・パリュ」で遭難した男性および新婚カップルの物語。世界で初めて飛行機による冬山の空中撮影を行ったことで知られる。CGのない時代にここまで迫力のある映像が撮れたことに改めて感動する作品。後に「意思の勝利」「オリンピア」で一躍有名になった女性監督レニ・リーフェンシュタールがヒロインを務めている。監督の1人、アーノルト・ファンクは「山岳映画(Bergfilm)」の巨匠として不動の地位を築いた。この山岳映画は「郷土映画(Heimatfilm)」とともに、ドイツ固有のジャンルとして知られる。ナチによって国威発揚に利用されたため戦後もそのイメージがつきまとい、やがて人気も下火となった。

「嘆きの天使」(Der Blaue Engel) 1930年
ジョゼフ・フォン・スタンバーグ (Joseph von Sternberg)監督
場末のキャバレー「嘆きの天使」に出入りしていた生徒を叱るため、店に入った厳格なラート教授。ところがそこで歌う一座の看板娘ローラローラに一目ぼれ。町中の尊敬を集めていた教授は奔放な娘に振り回される。場末の娘と付き合っていることが周囲に知れ、ラート教授は学校を辞めざるを得なくなり、一座に加わる。そしてローラローラに求婚するのだった。そして誇り高きラート教授は身を持ち崩していく…。ウィーン生まれで、アメリカに渡ったスタンバーグ監督がまだ無名のマレーネ・ディートリヒを発掘。この作品で一気に人気者となる。ラート教授を演じたのは名優エミール・ヤニングス。トーキー初期の作品。

「M」(1931年)
フリッツ・ラング (Fritz Lang)監督
ドイツのとある町で少女の誘拐殺人事件が相次ぎ、町の人々を震撼させる。しかし犯人の手掛かりは得られず、警察は威信をかけて大捜査網を敷くのだった。犯人特定のきっかけとなったのは、犯人が吹く不気味な口笛だった。それを視覚障害者の風船売りが覚えていたのである。これにより犯人は追い詰められ、町の人々も立ち上がる…。「メトロポリス」のフリッツ・ラングが手掛けた初のトーキー。口笛の音が効果的に使われ、随所に見られる斬新な演出も相まって恐怖心を煽る。


●ナチ時代を描いた映画

「橋」(Die Brücke)1959年
ベルンハルト・ヴィッキ(Bernhard Wicki)監督
ドイツの敗戦も色濃い第二次世界大戦末期、まだあどけなさの残る少年たちまでが戦争に駆り出された。ある村でも、ギムナジウムに通う16歳の少年7名に召集がかけられる。戦争の実態を知らない彼らは召集令状が届いたことに喜び、祖国を守るために勇ましく戦おうと張り切る。入隊してすぐ、村はずれの小さな橋を守るように命令を受けた。戦略上、まったく重要性のない橋である。まだ若い彼らを守るための上官の“親心”だったが、予想に反し敵はその橋に迫ってきた。対戦車砲を手に立ち向かうものの、戦闘の経験もない彼らは次々と敵の砲弾に倒れていく…。戦争の虚しさを伝える名作。日本では1959年に開催されたドイツ映画祭で初公開された。

「U・ボート」 (Das Boot) 1981年
ヴォルフガング・ペーターゼン(Wolfgang Petersen)監督
潜水艦Uボートの悲劇。駆逐艦の攻撃を受け、限界を超える深さまで沈んでいった潜水艦U96。艦長の冷静な判断と、乗組員が不眠不休で行った修復作業により、潜水艦は奇跡的に浮上する。ボロボロの状態でやっと帰港したUボートを待っていたのは…  よくある戦争映画とは一味違う、考えさせられる作品。スタジオ内に巨大なセットを作って撮影が行われた。また、小型の模型を水に浮かべて撮影するなど、CG全盛の今とは違う昔ながらの手法で撮られており、苦労の跡がうかがえる。

「リリー・マルレーン」 (Lili Marleen)1981年
R・W・ファスビンダー(Reiner Werner Fassbinder)監督
戦地のラジオでたまたま放送されたところ、兵士たちの間で大人気になった「リリー・マルレーン」という曲。毎晩9時55分ちょうどに流されることになり、敵味方双方から愛されるようになった。この時間になると、前線では不思議と砲撃が止んだという。こうした史実をもとに制作された映画。鬼才ファスビンダー監督作品にしては分かりやすい。(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督・・・60年代~70年代に起こった潮流「ニュージャーマンシネマ」の担い手の1人として将来を嘱望された監督だったが、1982年にコカインの過剰摂取で死亡。)

「ブリキの太鼓」 (Die Blechtrommel)1981年
フォルカー・シュレンドルフ(Volker Schlöndorff)監督
ギュンター・グラス原作、フォルカー・シュレンドルフ監督による作品。物語の舞台は第二次大戦前のダンチヒ(ポーランドにある現在のグダニスク)。3歳で成長を止めた少年オスカルは、ブリキの太鼓を叩き、甲高い声を出してガラスを割るという特技の持ち主。そんなオスカルの目を通して大人の複雑な世界が描かれている。

「モレク神」 (Moloch) 1999年
アレクサンドル・ソクーロフ(Александр Николаевич Сокуров)監督
ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が“人間ヒトラー”を描いた作品。権力者四部作の第一作で、言語はドイツ語。それまで一般的であった“悪の権化”的なステレオタイプではなく、ヒトラーの人間的弱さや内面を描こうとした初めての作品とされる。ベルヒテスガーデンの別荘にこもり、弱気になって愛人のエファに弱音を吐くシーンや、ハイテンションになって周囲を困惑させるシーンなどが盛り込まれている。(ソクーロフ監督の作品は、かなり“通向け”です)

「暗い日曜日」(Ein Lied von Liebe und Tod - Gloomy Sunday) 1999年、ドイツ・ハンガリー合作
ロルフ・シューベル(Rolf Schübel)監督
1933年にハンガリーで発表された「暗い日曜日(ドイツ語はDas Lied vom traurigen Sonntag、悲しい日曜日の歌)」にまつわるエピソードに着想を得、映画化したもの。当時、この曲を聴いた者が自殺するという事件が相次いだという。映画の舞台はナチ占領下のブダペスト。ユダヤ人のラズロは、美しい恋人イロナと共に高級レストランを経営していた。店に雇われたピアニスト、アンドラーシュが奏でるピアノの旋律は客だけでなくイロナも惹きつけた。やがてラズロ・イロナ・アンドラーシュの3人は奇妙な三角関係となる。しかしナチの将校が店を訪れるようになり、運命の歯車は少しずつ狂っていく。

「名もなきアフリカの地で」 (Jenseits von Afrika) 2001年
カロリーネ・リンク(Caroline Link)監督
第二次大戦直前、ナチによる迫害から逃れるため、ケニアに渡ったユダヤ人一家を描いた作品。弁護士の父とお嬢様育ちの母は慣れない土地で悪戦苦闘。やがて夫婦間もギクシャクし始める。一方、成長著しい娘はアフリカに溶け込み、のびのびと暮らすのであった。「ビヨンド・サイレンス」のカロリーネ・リンク監督の作品。女性監督ならではの細やかな描写と、美しいアフリカの大自然が印象的な作品。

「ヒトラー 最期の12日間」 (Der Untergang) 2004年
オリヴァー・ヒルシュビーゲル(Oliver Hirschbiegel)監督
ヒトラーの秘書をしていたトラウドゥル・ユンゲの告白を元に、ヒトラーが総統地下壕(Führerbunker)でピストル自殺するまでの日々を描いた作品。莫大な予算をかけて作っただけあって、非常にリアル。それまでの「悪の権化」「悪魔の手先」的なステレオタイプの化け物ヒトラーではなく、等身大のヒトラーをドイツ人が描いたことに賛否両論あった。また、ドイツの一般国民もまた戦争の被害者であったとの描き方も物議をかもしたと言われる。ヒトラー役を演じたブルーノ・ガンツは撮影前、試しにカツラをかぶってみたところ、あまりに似ているので「これは自分がやらないといけないな」と感じたという。これまであまり知られていなかった総統地下壕や戦争末期のベルリンの様子が分かる。普段、戦争映画はあまり見ない人までが映画館に足を運んだ。

「オペレーション・ワルキューレ」 (Stauffenberg) 2004年
ヨー・バイヤー(Jo Baier)監督
トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」で日本でも有名になった、1944年7月20日のヒトラー暗殺事件を描いたTVドラマ。セバスチャン・コッホがシュタウフェンベルク役を好演。

「白ばらの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」 (Sophie Scholl - Die letzten Tage) 2005年
マルク・ローテムント(Marc Rothemund)監督
第二次大戦中、「白バラ」という反体制組織でレジスタンス活動を行っていた大学生の兄と妹を描いた映画。彼らは体制に反対するビラをミュンヘン大学構内でまいたことで逮捕され、ベルリンの民族裁判所(Volksgerichthof)長官ローラント・フライスラー裁判官による一方的な裁判の末、ギロチンで処刑された。ゾフィーのひたむきさが胸を打つ。

「ドレスデン、運命の日」 (Dresden) 2006年
ローラント・ズゾ・リヒター(Roland Suso Richter)監督
1945年2月13日~15日に連合国軍によって行われたドレスデン爆撃を描いた作品。病院の看護師アンナが爆撃に巻き込まれ、地下に逃げ込む。イギリス人兵士との禁断のロマンスを織り交ぜつつ、火に包まれて瓦礫の山と化すドレスデンの街並みを再現。後半では再建された聖母教会の映像も。本国で2回にわたって放映されたドラマを劇場用に編集したもの。

「ヒトラーの贋札」 (Der Fälscher) 2007年
シュテファウン・ルツォヴィツキー(Stefan Ruzowitzky)監督
偽札を流通させることで敵国の経済にダメージを与えようというナチの「ベルンハルト作戦」の下、ザクセンハウゼン強制収容所にて精巧な偽札を作らされていたユダヤ系印刷技師の苦悩を描いた作品。実話に基づくもので、第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。ナチは敗戦直前に大量の偽ポンド紙幣を湖に沈めた。なお、この紙幣は1959年に発見され、2000年に引き上げられた。

「我が教え子、ヒトラー」 (Mein Führer – Die wirkliche wahrste Wahrheit über Adolf Hitler) 2007年
ダニー・レヴィ(Dani Levy)監督
ユダヤ系の監督が制作したブラック・コメディ。ヒトラーの演説を指導した人物がいたという事実を元にしたフィクション。敗戦の色が濃くなった頃、ヒトラーは神経を病み、引きこもりがちになっていた。ゲッベルスら側近は、ヒトラーにかつての威厳を取り戻させ、国民の前で堂々と演説させようと苦心する。強制収容所に収容されているユダヤ人の俳優を官邸に呼び寄せ、演説の指導をさせるのだった。「ドイツ人がヒトラーを笑いの対象にすることが許されるのか?」という問題提起となった作品。

「ベルリン陥落1945」 (Anonyma – Eine Fraun in Berlin) 2008年
マックス・フェルバーベック(Max Färberböck)監督
第二次大戦末期、ベルリンの惨状を目の当たりにした女性ジャーナリストが記した日記を映画化した作品。当時、幼い少女から老女まで、女性という女性(一説によると10万人)がソ連兵によって暴行されたという。主人公のジャーナリストは、赤軍の将校の愛人となることで、不特定多数の兵士から乱暴されることを防ごうとした。戦後、その日記を公開したところ“ドイツ女性の恥”と激しく非難され、ジャーナリストは深く傷つく。そしてその後は長い間自分の名前を伏せていた。

「アイガー北壁」 (Der Nordwand) 2008年
フィリップ・シュテルツル(Philipp Stölzl)監督
世界にドイツ人の優秀さを誇示するため、ヒトラーはアイガー北壁の初登頂を果たした者にベルリン五輪で金メダルを授与すると発表。それに刺激され、優秀な登山家4人がアイガー初登頂を目指す。ところが悪天候に阻まれ、悲劇が起こった…。第二次大戦前のドイツで人気のあった「山岳映画(Bergfilm)」はナチのイメージがつきまとい、戦後は長く作られていなかったが、シュテルツル監督が敢えてそのジャンルに再挑戦。

「ミケランジェロの暗号」(Mein bester Feind) 2011年
ヴォルフガング・ムルンベルガー(Wolfgang Murnberger)監督
ユダヤ人ヴィクトル・カウフマンの父は裕福な画商。しかしナチによるオーストリア併合で運命は一変。父は収容所へ送られる。美術品の没収を恐れた父は、最も価値のあるミケランジェロの素描画をどこかに隠した。ヴィクトルに「私から目を離すな」という謎の言葉を残し、父は収容所にて死亡。当局の目から逃れるため、そしてどこかに隠されたミケランジェロの素描画を探すため、ヴィクトルはSS将校になりすますという驚くべき手に出る。あるユダヤ人の運命をコミカルに描いた痛快なストーリー。


●戦後のドイツ~東西問題~東西ドイツ統一

「トンネル」(Der Tunnel) 2001年
Roland Suso Richter(ローラント・ズゾ・リヒター)監督
愛する人たちを東ベルリンから西ベルリンへ逃亡させるため、秘密裏に145メートルのトンネルを掘った男性の実話をもとにしたドラマ。Zweiteilerと呼ばれる2話完結ドラマを劇場用に編集したもの。ベルリンの壁が作られたころの東西ドイツの状況がよく分かる。

「グッバイ、レーニン!」(Good Bye Lenin!) 2003年
ヴォルフガング・ベッカー(Wolfgang Becker)監督
東西ドイツ統一の混乱ぶりをユーモアたっぷりに描いた作品。主役のダニエル・ブリュールは、この作品で一気に国際的なスターとなった。一見、東ドイツを揶揄しているようであるが、実は「オスタルギー(OstとNostalgieの造語)」も根底にある(ように私は思いました)。そして母を思うひたむきな主人公アレックスの奮闘ぶりに、東西とは無関係の大事なものが見えてくる。東ドイツの国産ブランドの消滅や西ドイツマルクの導入による通貨統合など、東西統一がいかに混乱を巻き起こすものであったのか、市民レベルで追体験できる。

「善き人のためのソナタ」(Das Leben der Anderen) 2006年
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(Florian Henckel von Donnersmarck)監督
東ドイツの秘密警察「シュタージ(国家保安省)」の諜報部員と、行動を監視される劇作家ドライマン、そしてその愛人クリスタとの関係を描いたアカデミー外国語映画賞受賞作。綿密な調査のもとに再現された監視・盗聴の手口は見ていると背筋が寒くなる。主役ヴィースラー大尉を熱演した名優ウルリッヒ・ミューエはその後、ガンで亡くなった。劇作家役のセバスチャン・コッホ、愛人で女優のクリスタを演じたマルティナ・ゲデックらの演技も光っている。

「バーダー・マインホフ 理想の果てに」(Der Baader Meinhof Komplex) 2008年
ウリ・エーデル(Uli Edel)監督
RAF(ドイツ赤軍派)の中心的メンバー、アンドレアス・バーダーとウルリーケ・マインホフ、そしてその仲間たちの活動を描いた問題作。戦後ドイツに大きな影響を与えた68年運動(68er-Bewegung)やRAFのテロ活動(「ドイツの秋、deutscher Herbst」と呼ばれる1977年の事件が有名。経済界の重鎮マルティン・シュライヤー誘拐殺害事件、ルフトハンザハイジャック事件など)、そしてそれらの結末が描かれている。モーリッツ・ブライプトロイやマルティナ・ゲデック、ブルーノ・ガンツなど、豪華なキャストも見もの。監督によると、当時の事件で発砲された弾の数まで数え、本作で忠実に再現したという。

「ハイジャック181」(Mogadischu) 2008年
Roland Suso Richter(ローラント・ズゾ・リヒター)監督
テロリストにハイジャックされた飛行機の乗客を、特殊部隊GSG9が突入して救出するまでを描いたドラマ。1977年に実際に起きた事件を元にしている。テロリストたちは刑務所にいるRAFのメンバーの釈放を求めていたが、シュミット首相は彼らとの交渉を拒否し、特殊部隊に突入の指令を出す。GSG9は、ミュンヘンオリンピックで起きたテロ事件の苦い経験を教訓に結成された特殊部隊。上記の「バーダー・マインホフ 理想の果てに」と同様、ドイツ国民を震撼させたテロリストたちの活動、そして彼らの脅しに屈することなく毅然と立ち向かった政府の対応を描いている。(日本のDVDはパニック物の扱いですが、過去の事件を忠実に再現したということで、ドキュメを見ているような感じです。)

●現代のドイツ

「ビヨンド・サイレンス」 (Jenseits der Stille) 1996年
カロリーネ・リンク(Calorine Link)監督
聴覚障害者の夫婦と、それを支える少女の物語。少女は困難を乗り越えながら大人になっていく。美しい景色と、少女が奏でるクラリネットの音色が印象的な作品。カロリーネ・リンク監督の細やかな演出が心を打つ。同監督の「点子ちゃんとアントン」もオススメ。

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」 (Knockin' on Heaven's Door) 1997年
トーマス・ヤーン(Thomas Jahn)監督
余命わずかと宣告された男性2人のロードムービー。1人が「海を見たことがないと天国で物笑いの種となる」ともう1人に話したことから、2人は海を目指す。主役を演じたティル・シュヴァイガーの才能とセンスが感じられる作品。日本でもリメイクされた。書店で偶然ティル・シュヴァイガーを見かけたタクシー運転手トーマス・ヤーンが、それまで温めていた原案を初対面のシュヴァイガーに持ちかけたという。それが映画化につながった。この作品のあと、ティル・シュヴァイガーは俳優業だけでなく、監督業でも活躍するところとなる。

「ラン・ローラ・ラン」 (Lola rennt) 1998年
トム・ティクヴァ (Tom Tykwer)監督
将来を嘱望される若手監督の1人、トム・ティクヴァの出世作。赤い髪を振り乱して走る女性(フランカ・ポテンテ)と恋人(モーリッツ・ブライプトロイ)の演技が話題になった。ティクヴァ監督の「パフューム ある人殺しの物語」(原作:パトリック・ジュースキント)もオススメ。ただし、こちらは英語。

「MON-ZEN」 (Erleuchtung garantiert) 1999年
ドリス・デリエ(Doris Dörrie)監督
日本通デリエ監督による、日本が舞台の映画。禅にかぶれた中年ドイツ人兄弟による日本珍道中。監督は「漁師と妻」「HANAMI」など、日本を舞台にした映画を数多く撮っている。(残念ながら、後者2本は日本ではDVD化されていません。よくある“西洋人の目を通した日本の姿”を超えるものではなく、日本人からすると気恥ずかしいところもあります。しかし根底にあるのは普遍的なテーマであり、素直に感動できるように思います)

「アナトミー」 (Anatomie) 2000年
シュテファン・ルツォヴィツキー(Stefan Ruzowitzky)監督
パウラ・ヘニングはハイデルベルク大学の解剖学講座で学ぶ優秀な医学生。ある日、不思議な死体を解剖することになった。血液がゴムのように凝固しており、さらに足には「AAA」の文字が刻まれていたのだ。それが中世から続く秘密結社の頭文字であることに気づいたパウラは、その流れをくむ組織が大学内に存在することを突き止める。彼らの目的は、人間を生きたまま解剖し、最高の標本を作ることだった…。本作に続き、「アナトミー2」も制作されている。ルツォヴィツキー監督は2006年に「ヒトラーの贋札」でアカデミー賞外国語映画賞を受賞。

「es」 (Das Experiment) 2001年
オリヴァー・ヒルシュビーゲル(Oliver Hirschbiegel)監督
アメリカのスタンフォード大学で実際に行われた実験を、場所をドイツに移して映画化したもの。被験者を看守役と囚人役に分け、ロールプレーイングさせる。そのうち双方とも役になりきってしまい、看守役はより残忍に、囚人役はより卑屈になり、人間性が崩壊していく。被験者たちは暴走し始め、想像を絶する結末を迎える…。モーリッツ・ブライプトロイの演技が鮮烈な印象を与えた。

「マーサの幸せレシピ」 (Bella Martha) 2001年
ザンドラ・ネッテルベック(Sandra Nettelbeck)監督
天才的センスを持つ一流シェフのマーサ。順風満帆に見えた人生だったが、姪を引き取ることで人生が一変する。姪や同僚との交流を通し、自分のレシピに欠けていたものを発見する…。ハリウッドでリメイクされたことでも知られる。ドイツを代表する女優の1人、マルティナ・ゲデックがこの作品で日本でも有名になった。

「愛より強く」 (Gegen die Wand) 2004年
ファティ・アキン(Fatih Akın)監督
トルコ系ドイツ人ファティ・アキン監督の出世作。一貫してドイツにおける移民の姿を描いてきたアキン監督の名前を世界に知らしめることとなった。保守的な家族から離れるため、偽装結婚を持ちかけたトルコ系の少女が主人公。男は渋々了承するものの、やがて奔放な少女に強烈に惹かれていく。第54回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作。アキン監督の作品を見ると、トルコ人を始め多くの移民が住む今のドイツがよく分かる。同監督の「太陽に恋して」「そして、私たちは愛に帰る」もオススメ)

「みえない雲」 (Die Wolke) 2006年
グレゴアー・シュニッツラー(Gregor Schnitzler)監督
青春を謳歌するヒロインが深刻な原発事故(Super-GAU)に遭い、母や弟を失う。自らも被曝の後遺症に苦しみつつ、恋人と励まし合いながら前を向いて生きて行こうとする。原発事故の恐ろしさを描き、ドイツの国内外で話題となった小説を映画化したもの。

「マルタの優しい刺繍」 (Die Herbstzeitlosen) 2006年
ベッティーナ・オーベルリ(Bettina Oberli)監督
長年連れ添った夫を亡くして塞ぎ込んでいたマルタが友達の慰めに奮起し、かつての夢だった手縫いのランジェリーショップを開く。ところが保守的なスイスの村は、ランジェリーショップに大反対。スイスらしい美しくのどかな風景の中で繰り広げられるプチ騒動。老いても前向きなマルタが素敵。スイス映画なのでスイスドイツ語。

「素粒子」 (Elementarteilchen) 2006年
オスカー・レーラー(Oskar Röhler)監督
ミシェル・ウエルベックのベストセラー小説を、オスカー・レーラー監督が映画化したもの。『現代社会の恐ろしいほどの愛の欠如と絶望感を、ユーモアと悲哀を交えて痛烈に描いた問題の恋愛劇(公式サイトより引用)』モーリッツ・ブライプトロイとマルティナ・ゲデックが共演している。

「ウェイヴ」 (Die Welle) 2008年
デニス・ガンゼル(Dennis Gansel)監督
独裁とはどういうものかを体験させるため、高校の授業でロールプレーイングを実施した教師ベンガー。最初は乗り気ではなかった生徒も、共通のシンボルマークや白いシャツ、敬礼を取り入れるうちに異様な一体感に酔い、洗脳されていく。やがて後戻りができないほど生徒たちは暴走するのだった…。実話を元にしているだけに、生徒たちがマインドコントロールされていく過程は非常に不気味。

「ソウル・キッチン」(Soul Kitchen) 2009年
ファティ・アキン(Fatih Akın)監督
ハンブルクで大衆レストランを営むギリシャ系移民のジノス。彼の頭痛の種は、腰痛と仮出所中の兄イリアスだ。愛する恋人ナディーンとは遠距離恋愛中だが、どうも最近の彼女はよそよそしい。店の経営も苦しく、税金も滞納中。ところが変人の天才シェフを雇ったところ、店は大繁盛。そこへ、かつての同級生で不動産業を営むノイマンが近寄ってくる。彼はソウル・キッチンを乗っ取ろうと画策し、ギャンブル好きの兄イリアスに目をつけるのだった。はたして店の運命は…。一貫して移民問題を取り上げてきたファティ・アキン監督のコメディ。DJの経験もあるアキン監督らしく、音楽が軽快で楽しい。


●サッカー

「ベルンの奇跡」(Das Wunder von Bern) 2003年
ゼーンケ・ヴォルトマン(Sönke Wortmann)監督
時は1954年。ドイツは第二次大戦の敗戦からまだ完全には立ち直っていなかった。炭鉱の町エッセンに住む少年マティアスはサッカー好きの少年だった。そこに11年間ソ連に抑留されていた父が戻ってきて家族の雰囲気は一変。戦前の厳しい教育方法を持ち込もうとする父に子供たちは反発し、共産思想に心酔していた兄は家族に黙って東ベルリンへと行ってしまう。同年、スイスでワールドカップが開催された。ドイツは苦戦しつつも勝ち進み、決勝で無敵のハンガリーと対戦することになった。地元出身の選手ラーンを応援するため、父とマティアスは車でベルンへ向かう。かたくなだった父も、サッカーを通して少しずつ変わっていくのだった。そしてベルンで奇跡は起こった…。

「ワン・デイ・イン・ヨーロッパ」(One Day in Europe) 2005年
ハンネス・シュテーア(Hannes Stöhr)監督
サッカーのチャンピオンズリーグ決勝戦の当日、モスクワ、イスタンブール、サンティアゴ・デ・コンポステラ、ベルリンの4都市で繰り広げられるドラマをオムニバス形式でまとめたもの。キーワードは「盗難」と「サッカー」。言葉が通じないために意思の疎通がうまくできず、会話がかみ合わない登場人物。困惑する彼らをよそに、地元民はサッカーで盛り上がる。様々な言語、様々な人種、様々な文化が複雑にからみあうヨーロッパを、サッカーという共通語を通して描いた作品。

「ヴィーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由」(FC Venus – Elf Paare müsst ihr sein) 2006年
ウーテ・ヴィーラント(Ute Wieland)監督
三度の食事よりもサッカーが好きな夫に辟易している妻たち。夫にサッカーをやめさせるため、彼女たちは賭けに出る。サッカーの試合で妻たちが勝てば夫たちはサッカーをやめるという条件だ。それまでサッカーなどしたこともなかった妻たちがトレーニングを積み、試合に臨む。その結果は…。明るいタッチのコメディで、バカバカしいけれど楽しめる作品。



●アクション映画、パニック映画

「アウトバーン・コップ」「アラーム・フォー・コブラ11」シリーズ (Alarm für Cobra11)
アウトバーンを取り締まる高速警察隊の刑事2人組が数々の事件に立ち向かうカーアクションドラマ。毎回お約束の派手なクラッシュが見もの。

「トルネード」(Tornado – Der Zorn des Himmels) 2006年
アンドレアス・リンケ(Andreas Linke)監督
首都ベルリンをトルネードが襲うというパニック映画。ベルリンのシンボルであるテレビ塔が大変なことに…。B級ですが、ドイツやベルリンがお好きな方ですと、それなりに楽しめます。

「タワーリング・インフェルノ08」 (Das Inferno – Flammen über Berlin) 2007年
ライナー・マツタニ(Rainer Matsutani)監督
ベルリンのテレビ塔で火災が発生、人々はパニックに陥り、ベルリンのシンボルであるテレビ塔が大変なことに…。B級ですが、ドイツやベルリンがお好きな方ですと、それなりに楽しめます。


●音楽好きな方、古典的作品がお好きな方向け

「未完成交響楽」(Leise flehen meine Lieder) 1933年
ヴィリー・フォルスト(Willi Forst)監督
貧しい作曲家シューベルトと、ワガママな伯爵令嬢との純愛物語。身分の差から結婚はかなわず、令嬢は別の軍人と結婚することに。結婚式でピアノを演奏したシューベルトは、未完成の楽譜に「わが恋の成らざるが如く、この曲もまた未完成なり」と書き込んだ。フィクションながら、シューベルトの名曲がちりばめられ、楽しめる。トーキー初期の作品なので、白黒。

「シシー」三部作
・「エリザベート ロミー・シュナイダーのプリンセス・シシー」(Sissi)1955年
・「エリザベート2 若き皇后」(Sissi – Die junge Kaiserin)1956年
・「エリザベート3 運命の歳月」(Sissi – Schicksalsjahre einer Kaiserin)1957年

エルンスト・マリシュカ(Ernst Marischka)監督
若きロミー・シュナイダーとカール=ハインツ・ベームのコンビで大人気を博した3部作。バイエルンの王家からオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世御のところに嫁いだエリザベート。シシーという愛称で呼ばれた彼女は自由を愛し、窮屈な宮廷生活を好まなかった。そんなシシーの半生を描いた作品。

「野ばら」(Der schönste Tag meines Lebens) 1957年
マックス・ノイフェルト(Max Neufeld)監督
ハンガリー動乱の頃、母の故郷であるオーストリアに逃れてきた孤児のトーニは、親切なおじいさんに引き取られる。その天使のような歌声に驚いたおじいさんは、トーニをウィーン少年合唱団へ連れていく。ウィーンやチロルの美しい風景を背景に、ウィーン少年合唱団が歌う名曲が随所にちりばめられ、目と耳で楽しめる作品。

「哀愁のトロイメライ “クララ・シューマン物語“」(Frühlingssinfonie) 1981年
ペーター・シャモニ(Peter Schamoni)監督
名ピアニストのクララ・シューマンと、作曲家ロベルト・シューマンの出会いから結婚までを描いた作品。クララをナスターシャ・キンスキーが、ロベルトを「U・ボート」のヘルベルト・グレーネマイヤーが演じている。父親から英才教育を受けて育ったクララの半生が興味深い。

「4分間のピアニスト」(Vier Minuten) 2006年
クリス・クラウス(Chris Kraus)監督
殺人罪で服役中の若い受刑囚ジェニーにはピアノの才能があった。それを見抜いたピアノ教師が正統派の演奏法を教え込もうとする。頑なだった少女は少しずつ心を開いていき、コンクールでの4分間の演奏に向けて練習に励む。しかしその少女だけでなく、老いた女性教師も複雑な過去を持ち、心に傷を抱えていた…。モーリッツ・ブライプトロイの母親モニカ・ブライプトロイの熱演が圧巻。

「僕のピアノコンチェルト」(Vitus) 2006年
フレディ・M・ムーラー(Fredi M.Murer)監督
優れた頭脳を持つ天才少年と、少年の唯一の理解者であるおじいちゃんの物語。名優ブルーノ・ガンツの演技と、本物の神童が奏でるピアノの音色、そしてスイス特有の牧歌的な風景が見事。ほのぼのとした作品。スイス映画なので、スイスドイツ語。

「クララ・シューマン 愛の協奏曲」(Geliebte Clara) 2008年
ヘルマ・サンダース=ブラームス(Helma Sanders-Brahms)監督
夫ロベルトが精神に異常をきたし、精神病院で亡くなるまでの、クララの苦悩を描いた作品。ロベルトを敬愛するとともに、クララを慕っていたブラームスの存在もカギ。シューマン夫妻は2人とも人一倍才能に恵まれていたが、天才であるがゆえの苦悩もまた人一倍であったことが伝わってくる。

「ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~」(Goethe!) 2010年
フィリップ・シュテルツル(Philipp Stölzl)監督
若きゲーテがシャルロッテ・ブッフと激しい恋に落ち、やがて失恋して「若きウェルテルの悩み」を執筆するまでの日々を描いた作品。18世紀という時代を忠実に再現したそうで、道はぬかるみ、ドロドロ。男性がかぶるカツラも、お世辞にも清潔とは言い難い状態。監督の話では、これが当時のスタンダードだったとのこと。


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2012/11/17(Sat)

Heimatfilm (郷土映画)

(字幕ほにゃく日記からの転載です)

 突然ですが、Heimatfilm (郷土映画)というジャンルをご存じでしょうか。ワタシは名称しか知りません(恥) いえ、前から聞いてはおりましたし、このジャンルに含まれる映画を何本かほにゃくしたこともありました。が、なんとなく食指が動かず、自分から進んで見ようとも思わなかったのです。でもねー戦後のドイツ映画ってコレ抜きには語れないんですよねー。そもそも、なんで戦後の西ドイツで、こんなに牧歌的でユルい映画が大人気となったのか。ホント不思議です。が、なんとなく納得いく解説が「ドイツ映画」(ザビーネ・ハーケ著、山本佳樹訳)という本に載っていたので、引用させていただきますね。長くてすみません。自分用のメモを兼ねておりますので…


『ジャンル映画に新風を吹き込み、連邦共和国にとっての戦後のアイデンティティを構築するために必要な、異文化間や異世代間の遭遇といったものを供給する役目は、「郷土映画」とその物語空間に残されることになった。郷土についての非政治的な概念は、信用を失ったドイツ・ナショナリズムの歴史と、冷戦期の二つのドイツ国家の競争的な状態の両方に、一つの代案を約束した。』

『ハンス・デッペの「黒い森の娘」(1950年)と「緑の原野」(1951年)を皮切りに、「郷土映画」は商業的に最も成功した戦後映画のジャンルとして頭角を現し、安定して500万人以上の観客を動員することになる』

『多くの研究者は、このジャンルの桁外れの人気を、その本質的な保守性によって説明してきた。すなわち、バイエルン・アルプス、シュヴァルツヴァルト、リューネブルガー・ハイデといったドイツの代表的な風景のなかで描かれたのは、父権的家族の正当化であり、規範的道徳への回帰であり、そして前興行的な共同体への隠遁であった。だが、「郷土」をめぐる言説はまた、戦争、排除、強制移住といった歴史的経験や、伝統と近代性とのあいだの進行中の折衝とも、解きがたくつながっていた』

『「郷土映画」は、世代間の葛藤とステレオタイプ的なよそ者の形姿とを通じて、国家の敗北を甘受し、連邦共和国を新しい祖国にするための、想像上の空間を作り上げた。意味深いことに、このジャンルの牧歌的な村や美しい風景のなかに現れるよそ者の多くは、東プロイセンやポンメルンからの難民か、合衆国からの帰国者であった。』

『こうした再生の物語の背後にあって、その推進力となっていたのは、伝統的な社会構造と、同時代の経済的・政治的現実との、調和的な両立を求める欲求であったが、この過程は、しばしば、異質なものとの対決や、そのどうかや編入の成功を中心にして描かれた。こうした矛盾した諸傾向に照らしてみれば、「郷土映画」は、退行的であると同時に進歩的な、帰属のファンタジーであることがわかるのであり、それは、「郷土」という馴れ親しんだ図像を動員して、「都市」対「田舎」といった古い対立よりも、全西ドイツ市民の社会的安寧と経済的繁栄の前提条件としての近代性への共通の信仰に基礎をおく、新しい共同体のアイデンティティを構築しようとするものであった。』(以上、引用終わりです)

↓ ここで挙げられていた、「緑の原野」Grün ist die Heide です。なんちゅうのんびり感とユルさ!なごみ系で牧歌的!…と、この動画を見ただけじゃ、そういった感想しか出てこない。だけどハーケさんの解説を読むと、なんとなくイロイロ納得できちゃう。



 ところで先日、古書店でキネマ旬報1952年6月下旬号を買ってしまいました。ドイツ映画特集があったので、ポチったわけです。そこに、この「緑の原野」の映画評も載っておりました。ご紹介いたしますね。以下、引用いたします。

『ドイツの色彩映画:最近ドイツ最初のゲファーカラー映画「荒野は綠なり」が好成績を収めている。東部からの難民が北ドイツに横たわるリューネブルクの荒野で密猟を生業とする物語。彼の可憐な一人娘(ソンヤ・ツィーマン)と密猟監督の山林官との戀がからみ、主題歌には有名な詩人ヘルマン・レースの詩がそのまま用いられる。これはドイツ人の郷愁豊かなリューネブルクの荒野を舞臺とした點もさることながら、はじめて使ったベルギーのゲフュールト社のゲファーカラーが非常い成功した點で、好評を博している。』

                   キネマ
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2011/07/23(Sat)

ごあいさつ

 字幕ほにゃく犬の「ありちゅん」と申します。これまでココログとエキサイトブログで細々と日記を書いてまいりましたが、このたびFC2ブログにてドイツ映画に特化したブログを書こうと思い立ちました。こちらも細々と書いていくことになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
                 ありぐー
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